第22章 伏魔(ふくま)
それから後…
離れることになってから…
心細くもあったけれど、毎日電話してくれた…
それがたまらなく嬉しくって、長話しまくっていた…
それでも、話すこともだんだんと減ってきた…
それが反抗期によるものなのかもわからないまま…
中1にあがった頃…
また恵土が大怪我をした…
心配する俺の身にもなれって、殴り合っては蹴り合ったり…
それでいながら、とても幸せだった…
そんな相手がいることが…何よりも……
第一次近界民侵攻の後…
姉さんが死んでから…距離を置くようになった…
責任を感じさせたくなかった…
何より、俺が近界民を駆逐することを目的としていたから……
道が全く違うから…
あぁいうしかなかった…
それでも、恵土は変わらなかった…
(104~112ページ参照)
いつもと同じように笑顔を向けては
変わらず接し続けるばかりだった…
俺は…
意地っ張りなのか、周りが言うようにシャイなのか…
本当のことは言えず、時を過ごしていた…
本当は…
ずっと、お前のようになりたかった…
お前が俺の心を救ってくれたように…
俺もまた、お前を救いたかった…
既に救われている、その言葉をうのみにしないまま…
『目の前に居ながら姉を助けれなかった罪悪感』と共に
恵土と距離を、常に取ったまま…
やっと…
これからだっていう時に…
やっと、昔のように…
『ずっと一緒だ^^』
約束を交わしたあの時から、共に過ごしたように……
「おかえり^^」
「…(微笑)…ただいま^^」
抱き締め合っては、互いの存在を…
温かさを感じ入っていた、あの頃のように……
やっと…
近くに感じられるっていう時に…
秀次「なんで…っ;(涙」
そんな思いの中、涙が零れ落ちていく…
誰もいない薄暗い部屋に、水滴が落ちる音が響く…
届けたい人がいないことに…
その人を、目の前に居ながら「また」守れなかったことに…