第22章 伏魔(ふくま)
そうして、物語は動き出していく…
理想としている未来か
理想としていない未来か…
その行先は、解らぬままに……
秀次「…」
恵土のトリガーを持ったまま
解散となった中、一人部屋に取り残されたままの秀次…
その脳裏には、過去の出来事が浮かんでいた…
秀次「…」
両膝を抱えていた…
両親と兄が事故で死んだのを知られた時
心無い言葉をぶつけられたことを思い出しながら…
「お前がここに居ていい資格なんてないんだよ!」
「あっち行こうぜ!不幸が移る~っ!!」
秀次「っ…(うつむく」
何も、言い返すことができなかった…
そして立ち上がり
想い出の草むらへ歩いていく中…
「いなくなれ~!」
「顔面凶器!!」
恵土「…」
そのいじめっ子たちの言葉を黙って聞く恵土を見つけた…
「聞いてんのかよ!」
石を投げつけられても動くこともなかった…
「無反応でやんの」
「つっまんね~。あっち行こうぜ!」
そう言いながら去るいじめっ子たち
に対し、遠くを見つめたまま無心でい続ける恵土…
それを見つめながら…
秀次は立ち尽くしていた…
恵土「!…秀次?」
それに気付き、顔を向ける中
秀次「!…あ、えっと」
俺にとっては思わぬことで、慌てながら何か言おうとした…
恵土「…(微笑)
帰ろう^^(手を差し伸べる」
秀次「…うん(微笑」
すると、いつものように愛おし気な瞳を向けて微笑み
笑みを浮かべながら、左手を優しく差し伸べてくれた…
その時…やっと、笑えた気がした…
その帰り道…
秀次「ねえ」
恵土「ん?」
秀次「何で恵土は…そんなに強いの?」
立ち止まりながら尋ねた…
恵土「…秀次たちがいるからだよ」
秀次「!…え?」
恵土「秀次たちがいるから
帰ってきたいって思わせられる。
帰ってきていい居場所があるから…
そこが、掛け替えのない
大事なよりどころだから^^」
その思いもよらない言葉に…
思わず俺は、息をのんでいた…