第22章 伏魔(ふくま)
太刀川「…」
その壁を撫でながら、思い出していた…
恵土「?」
太刀川「恵土先輩ですよね!?
俺、あの時に助けられたもので
弟子にして下さい!!(土下座」
恵土「やだ」
太刀川「え!!?;」
恵土「弟子入りする相手を間違ってる。
来い。
お前にあった師匠、紹介するよ」
背を向けて歩く恵土を見つめる中…
ムッとなった俺は、弟子入りを認めさせるため
襲い掛かった。
だが…
その直後、即座に手を取られて投げ飛ばされ
壁へ叩きつけられた。
太刀川「がはっ!!;」
恵土「…お前、どちらかと言ったら剣術に向いている。
私の場合は、体術もひっくるめた剣術になっちまう。
だが、お前の場合は純粋な剣術。
分野が違う。
体術使いに対応するために戦って覚えさせることは出来ても
純粋な剣術までは教えられない。
戦術に関しても、お前にあってすぐに応用にまわせるようなものもまた別だ」
太刀川「…」
それでも、納得がいかなかった…
その顔を見て、悟ったように苦笑していたのが見えた…
恵土「溜息)私が紹介する。
強くなりたければ、剣を持て。
思い通りに行かないから怒るんじゃない。
行動するんじゃない。
今を見据えろ。前を向け。
自らが本当に立ち向かうべきものを見誤るな。
それさえできれば…
お前は最強のアタッカーになれる^^」
太刀川「!…
でも…俺は…
まだ、全然弱くて…」
壁を前に正座したまま
情けなくも、その目に涙がにじんでいた…
恵土「私が保証する(微笑)
お前は強い」
太刀川「!!」
顔を上げると…
恵土「だって、それだけ必死になっている。
これから、大変だろう。
どれだけの想いをもっても、負けることはある。
それでも、その立ち向かおうとする心が折れない限り
本当の負けではない。
立ち上がれ。
立ち向かえ。
…そして…
私よりも強くなってみせろ(微笑」
その微笑みに悟ったんだ…
俺を認めているからこそ
期待しているからこそ、そうしているんだと…
そして…惚れてしまった…
と同時に、護りたいと
心の底から思うようになっていた…