第21章 襲撃と想い
そして眠る中…
「近界民にも色々居るんだよ。
個性もあれば、感じ方も違う。
ここで暮らす人達と、何ら変わらない。
一人だけの人に怒っていても
全員が全員、それらとは違うように
私たちもまた、私たちで
全く同じ人たちなんていないんだ」
そう言われた言葉が、秀次の脳裏によぎる…
「だから秀次…
近界民とひとくくりにするんじゃなくて
一人一人と向き合った上で、個別に分けるってこと
できないか?」
秀次「馬鹿恵土が…
何でっ…許すことができるんだ……」
そう目を瞑りながら辛そうな顔をし
呟きながら恵土を抱き締め、眠りにつこうとするも…
「死んだ人は帰らない。
人が死ねば、その人に関わる人たち
大切に想う人達が涙し、哀しみ、同様に喜べなくなる。
幸せを感じることも出来づらくなり
不幸ばかりが強く感じ、幸せを見いだせなくなってしまう…
そんな事を望むような人じゃなかっただろ?
姉さんも…私の両親も、村の人たちも……」
秀次「解ってる…本当は……
恵土の言っていることが…
教えてくれたことが…正しい事ぐらいは…)
っ…それでも、俺はっ…
(姉が殺された場面と
血みどろになっている恵土が壁を背に力尽きている場面が
脳裏によぎる)
あんな目に遭わせた奴等をっ…!」
歯ぎしりしながら呟く中…
「殺された、奪われた…
知っているもの全てを奪われて…
ずっと、失意のどん底で……
そのおかげで、今ある幸せを理解できても…
その過去の傷跡だけは決して消えてはくれない…(ぽとっ)
いつまでも…心を抉ってきやがる…
そんな思いをさせることを…
それを平気ですることまで、引き継がせていいのかよ!?(涙」
そんな恵土の言葉と、涙と共に語られる想い
それらが脳裏に浮かんでは消える…
(344~345ページ参照)
頭で理解できていても、感情が追いついていない…
どうすればいいのか解っていても
感情が…心がよしとしない…
そんな中、一つの行動が分け目となる…