第21章 襲撃と想い
遊真『それでも…
恵土が、2000%ありのままで
自分をさらけ出せて、ぶつけ合える人間は…
どんなにひどい悪夢を見て、闇にのされようとも
心からの満面の笑みを浮かべるのは
俺じゃなく、秀次といた時だった。
沈んでいる時に、そっとするのも優しさだって教わって…
俺も、そうするべきだと思った。
その辛さも解ってやれないし、痛みも解ってはやれないから…
でも…
それだと、恵土は辛いのをごまかしたままで終わりだった…
それでも秀次は、違った優しさで救っていた…
いつも通り、笑顔を向けて
どんな態度を取られても、それごと受け入れるように…
恵土のようにして、普段通りに居られるように
一生懸命考えて、ぶつかりまくっていた…
それが、恵土にとっては誰よりも合っていて
それだから開放的になれたし
本当に幸せそうに笑っているように見えた…
本当は解ってた…
それでも、惚れているから
その恵土が、態度を変えるのが嫌で…
結局…
言わずにい続けた。
随分卑怯だろ?』
恵土『私はそうは思わないぞ?』
遊真「!」
恵土『だって、遊真は
誰よりも私のことを考えてくれたじゃん。
誰よりも、私のことを愛してくれていたから
別れを告げてくれたんでしょ?
私が幸せになる方法、幸せを感じる誰か
それらをちゃんと考えた上で…
別れることを選んでくれたんでしょ?
本当は別れたくないのに
もっと一緒に居たいのに…
そういうのが出来るのは、本当に優しい人だからだよ…』
遊真「…あれ…何で…俺っ…」
泣いてんだ…
その言葉が、出てこなかった…
きちんと見てくれていた…
ちゃんと、真っ直ぐに向き合って
それごと愛していると言ってくれた…
その想いも理解しているが故か…
涙が、次々と溢れ出しては止まらなくなっていた…
恵土『だから遊真…
これからは、恋人ではなくなっちゃうけれど…
それごと、いつでも愛しているよ(微笑』
そう送る恵土もまた…
その愛情の深さに、涙が溢れていた…
そして涙が一筋、左頬を伝って落ちる中…
秀次が向かってきていた…