第21章 襲撃と想い
祖父「…ああ。
これから、記憶と共に力も封印する。
半分も出せなくなるだろう。
だが…
その分高密度になり、身体自身が耐えられなくなる。
それでも…
おそらく、お前に癒着した
始祖神様の魂が護って下さるだろう…」
恵土「ねえねえ、それってどういうこと?」
祖父「…昔、話した通りだ。
今から世界が生まれるよりも昔…
世界を生み出して疲れ果てた始祖神は
この土地で息絶え、世界が存在し続けるよう祈りを捧げた…
それにより、この世界は
トリオンの補給が無くとも存在し続けていられる…
3863年も昔、その土地で争いが起こった
下らぬ争いだった…
だが、その土地に差し掛かった際
大切なことに気付かせて下さった…
各々に帰る場所がある。
大事な存在がある。護るべきものがある…
目の前の利益のため、争い合い、奪い合い…
それで目先の利益をいくら手にしようとも…
その先には、死者があるという哀しみはぬぐえぬのだと…
共に過ごしたかった時間は戻らぬ、大切な人との未来も戻らぬ…
それが一番の理不尽であると同時に気付かされた…
命の奪い合いこそが、一番の不利益なのだと…
してはいけぬことが、殺し傷付けることなのだと…
それに気付かせて下さった聖なる土地を護るよう
その悟りを下さった、始祖神の力を秘めたご神木。
その傍に祠が建てられ
争い合っていた村同士が手を取り合い、村を築き上げた…
それが、今ここで過ごしている村だ…
その後…
祠の光に包まれた初代が産まれた。
その方こそが、最初の適合者…
そして、予言を残して下さった…
次に適合者が現れれば、おそらくそれは
始祖神を蘇らせることができる方だと
一瞬で全てを焦土と化すことも可能だが
汚れた世界そのものに罪はない。
全てがすべて悪いということではない。
その考えのもとに、護り抜き続けるだろうと…
それがお前だ…」