第20章 異世界からの逃亡者(風月流)
何度でも歩いて行こう…
背を追い抜かれても、どうなっても…
大事な君と一緒に……
満面の笑みを浮かべながら
そのような想いを感じながら、とても嬉しそうに歩いていく二人がいた…
恋愛感情はないはずだった…
それでも…
気が付けば、互いに惹かれていた…
互いに、互いを常に思い合っていた…
大事な存在として…
心の許せる、最大の存在として…
恵土「…」
遊真「結婚の約束とかだって解ってる…
中途半端な気持ちじゃなかったことも…
本気で、そう思ってくれていたことも…
それでも…今は違うだろ?
それよりも、大事な人がいる…
その幸せのために、必死になる人がいる…
だから…選択を誤っちゃダメだ」
恵土「!」
再び思い返している時に下げていた頭を
驚きと共に、遊真へと顔を上げる…
遊真「見誤ることも、したらダメだ…
恵土も俺も…
互いが互いに救われている…
それは変えられない事実で、今も変わらない……
それでも…
恵土は…
あいつが何を望んでいるのか、一番解っているはずだろ?」
その思い出される声と共に…
『一週間後、返事を聴かせてほしい』
最後の言葉を思い返しながら…
眠りについていた…
遠い昔の日を、とある日の出来事を思い出しながら…
当時4歳だった秀次と出会って
共に過ごすようになってから1か月後…
恵土「秀次~。
あんまり遅いと、姉さんが怒るよ~?」
公園にあった草原が
一面の花に覆われていた中…
その中で未だに居続ける秀次へ向けて、声をかけていた…
秀次の姉さんが
家でご飯を作って、待っていることを考えながら…
すると、秀次が走ってきた…
恵土「?どうしたの?秀次」
秀次「えっへへ^^♪
ちょっと目を瞑ってて」
後ろに何かを隠しながら言う秀次に対し
私は、何の疑問も思わず目を閉じた…
信頼していたというのもあった…
けれど、返ってきたのは…
それ以上のことだった…