第20章 異世界からの逃亡者(風月流)
動揺で瞳が揺れる中…
ある場面が、脳裏によぎっていた…
悪夢を見て、ふさぎ込んでいた…
無心になりながらも、暗い光を宿し
荒んだような目をしていた私に対し…
それでいながら、秀次なりに元に戻そうとして…
水をぶっかけるは
湯をぶっかけるは
泥をぶっかけるは
小麦粉をぶっかけて元に戻ったけど;
恵土「もったいないことするな!!
食材がかわいそうだろうが~!!!!(ぷんぷん」
そしてバコバコ襲い掛かって
いつもの調子に戻って…
最後に、満面の笑みを浮かべた…
その解放感に…
いつだって、いつものように受け止めるよっていう
秀次の意思と、想いを受け取りながら…
それにいつだって救われてきた…
13年もの間、いつだって変わらない秀次の隣が…
この居場所が、とても心地よかったことを…
夏だと冷水をぶっかけるは
「水代がもったいないだろうが~!!」
秋だと油をぶっかけるは
「有限なのに何考えてんだ~!!」
冬だと氷をぶっかけるは
「この寒い日に何してくれとんじゃ~!!;」
春だと小麦粉を含んだ氷水をぶっかけるは
「いい加減にせんかい、われえええええ!!」
その後、決まっていうことはといえば…
秀次「えへへ^^
こうすれば、きっといつものように戻るって思って^^」
怒る私を前に、嬉しそうに笑う秀次だった…
それが…なぜか嬉しくて…
笑えて…笑いながら手加減して襲い掛かってた…
当時4歳だった秀次もまた、同じように襲いかかって…
バコバコし合ってた…
いつもの、軽い喧嘩のように…
そして…いつものような調子に戻って…
腹の底から笑い合って…
それが、とても気持ちよかった…
初めての経験で…
いつだって、私のことを考えてくれた…
真剣に向き合ってくれた…
大事だって、いつも言ってくれた…
無茶をすれば、いつだって本気になって怒ってくれた…
だから…
…だから……
どうしても、目を離せなかった…
離したくなかった…
たった一人になったから…
なおさらに、そう思った……
家族の中、唯一生き残ったことを感じながら…