第4章 過去
恵土「ふーっ!ふーっ!!」
そして、気付けば…
瞳孔は完全に開いた状態のまま
必死に日本刀を振り下ろし続けていた…
それから…
どれほどの時が過ごしたか解らない…
それほど、集中し切り
何日かの時が過ぎたのではないかというほど、濃密な時が流れ…
戦いが、息つく暇もなく続いていたから…
そして、3月22日の明け方
ちょうど、1日半が経った頃
連絡がつかないことと、
その村から煙が上がってたことから、ボーダーがやってきた。
ボーダー創設期の隊員だった、両親のもとへ…
しかし、そこには両親もいず
トリオン兵の残骸に座り込みながら
トリオンの体となっているものを
瞳孔の開いた目で睨み据え、蒸気を口から呼吸と共に出し
日本刀をトリオン兵へ突き刺し、柄を左手に持ったまま
肩で息を荒らしている、小さな子供だった…
恵土「ふーっ…ふーっ…」
その眼は、見開かれたまま
焦げ茶色のはずだった黒目の部分が
暗闇そのもので、真っ黒になっていた…
「おい!お前だけなのか!?紅蓮さんは
!?あぶっ…ぐあっ!」
近寄ってくるボーダーに対し
斬りかかって倒し、トリオン体を斬り壊した。
恵土「うおおおおおおおお!!」
ずばっ!!どごっ!!ばきっ!!!
片っ端から切り裂いていく中…
「やめないか!!」
弧月で斬りかかるその男を
恵土「でやあああああ!!」
最小限の動きでかわすと共に
一頭のもとに叩き切った…
「嘘だろ…あの城戸さんが」
恵土「ふーっ!…ふーっ!…
うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「今度は空閑さんに!?」
「逃げろ空閑!!」
そんな中、恵土は空閑=
空閑有吾へ飛び掛かり、斬りかかっていた…
城戸「空閑!!」
しかし…
両手で振り下ろす中、その両腕の間に頭を通し
恵土を抱き締めた…