第20章 異世界からの逃亡者(風月流)
ゼノ「…何で、あいつは…」
遊真「それが恵土なんだよ、ゼノ様。
損か得かなんて関係なしに
人の幸せと笑顔を望んでしまう。
それが、どれほど尊いものなのか…
どれほど恵まれた事なのか、解っているからこそ…」
雨に打たれながら、魂の抜け殻のような
光の宿っていない暗い瞳で、一人で天を見つめる
10歳頃の恵土が映し出されていた…
ゼノ「…大した生き様だな。
本当に、バカみたいなやつだ…」
遊真「まあな。
はた目から見ればバカだが、当人にとっては
それだけ必死になって考えてくれることは嬉しいと思うぞ?
実際、俺も助けられたからな(微笑」
そう言いながら、左手にある指輪を触って笑った…
ゼノ「ふんっ。おかしな奴だ(微笑」
遊真「で?恵土にもあれを付けるのか?」
ゼノ「…いや、つけたくない」
遊真「何でだ?」
ゼノ「…何でだろうな…
あいつには、つけたくない…」
そう言いながら、思い出していた…
食事中の時、
ゼノ「何でこんなに親身になる?
何かたくらんでいるんじゃないだろうな!?」
そう迫った時…
恵土「何言ってるんだ?
異界の地に踏み入れれば
その場所場所で常識も変わるし、何もわからないだろ?
不安になるのは当たり前だ^^
だからさ…
せめて、ここに居る時を楽しんで欲しいんだよ(微笑)
皆で一緒にさ^^」
そう楽しそうに笑いながら
明るい微笑みで返され、温かさで包まれた…
ゼノ「…いい女だな。
だが、そこをつかれて利用されるぞ」
遊真「それから護るのが、俺の役目だ(微笑」
ゼノ「!…そうか(微笑)
今夜、あいつと話す。二人きりでだ」
遊真「ご自由に。
俺も後で、夜中に話すつもりだから手短にな≡3≡」
ゼノ「ちっ。注文が多い奴だ(腕組み」
そして戦っているのを見つめると…
栞「ラービットだしちゃいました!
2000体倒し、レッツゴー!!^^♪」
恵土「んじゃ生身でいっきまーす!^^」
栞「ってそれはちょっと危ないんじゃ?;」
恵土「大丈夫大丈夫^^
すぐ、終わるから(真剣」
満面の笑みを浮かべた直後
真剣な面持ちに切り替わり、刀を作り出しながら構える…