第20章 異世界からの逃亡者(風月流)
遊真「…風月流138代目…
日本が生まれるよりも遠い昔
自然を生き抜く中、独自に生み出された武術で
それで国として村を作っていたらしい…
その村長は、昔から人を傷付けることを拒み
一瞬で苦しむ間も与えず、圧倒的に倒したらしい。
恵土は、その長であると同時に
唯一の生き残りなんだ…
村自体は、近界民に殺されたから」
ゼノ「…」
遊真「その後、再びその近界は接近。
そして…恵土は、死んでから生き返った。
殺そうとされた親子を庇って、重傷だったんだ…
それと同時に、体にガタが来た。
神の力を解放させて、回復が思うように進まなくなったらしい」
ゼノ「…大丈夫なのか?」
遊真「そうじゃなかったら、ここにはいないだろ?
それでも…
まだ、完全には傷が癒え切っていない。
とはいえ、それでもあれほどの実力だ。
…たぶん、無理しながらでも来ようとしたんだろ。
切羽詰まった状況だって、向き合った時点で解ったから…」
ゼノ「…随分、慕われているんだな(溜息」
遊真「?」
ゼノ「…あいつらの態度を見ていれば解る。
強さだけでない、何かがあることも…」
その後、圧倒的な実力で
夜叉丸シリーズ5000億体を退治する恵土を見ながら言うも…
たった30秒で終わった…
ゼノ「人質には弱いんだな;」
遊真「ああ。
人が少しでも危険なら助けることを重視するぞ。
たとえそれが、知らない人だったとしてもな…」
ゼノ「…ふんっ。おかしな奴だ」
鼻で笑いながら腕組みをする中、頼もし気に見やるゼノと
それを見ながらも、認めてもらっていることに
まんざらでもなく嬉しい遊真だった…
恵土「お~い。
ゼノ、トリオンが必要なら私のをやるぞ」
『は?』
ゼノ「病み上がりのくせにか?
まだ治り切ってないと聴いたぞ」
恵土「それでも
私のトリオンをあげることで、千佳の解放が早まるんなら
その方がいいだろ?
リリスに必要なトリオンの補給にもなるし」
ゼノ「!!」
その言葉に、ゼノは驚きと共に目を見開いた…