第19章 劇(退院祝い)
栞「彼女は、その子供の姉でした。
彼女もまた、愛犬が帰って来ることを望んでおり
恵土を連れ帰ると叫びながら飛び出した弟を心配し
毎日、帰って来るまで門の外で待っているのでした」
修「なるほど。そういうことか(汗」
納得する中、汗が出ている修…
栞「そして、事情を聴いた姉もまた涙を流し
恵土を蘇らせるため、白霊山へと向かうことにしました。
そこには、ある伝説がありました。
死者を生き返らせたいのならば
生娘の清らかな祈りを山頂で捧げるべし。
さすれば、蘇るであろうと…」
修「おおっ!」
栞「しかし、その道は苛烈を極めていました…
白霊山とは、神聖な場所。
本来獣も人も立ち入れられぬほど
清らかな気配に満ち満ちており
一度(ひとたび)立ち入れば、決して帰れぬと言われていたのです。
弟は必死になって止めようとしました。
ですが、彼女の意志は固く…」
木虎「絶対に、恵土を生き返らせる!」
緑川「でも危険だよ!
それを信じて、何人もの人が登っては死んでいるんだ!!
俺は…姉ちゃんまで失いたくなんかは…;(涙&震」
拳を握りながら、目を瞑って震える緑川
木虎「…駿」
緑川「!」
緑川が顔を上げる中
門先で、躯を入れた袋を持ち
山へ登る準備を終えながら、背を向けたまま言った
木虎「私は
あなたが飛び出していった時、あなたを止めなかった。
だから…今度は、私に行かせて。
必ず、帰って来るから…恵土と一緒に(微笑」
緑川「姉ちゃん…」
栞「草鞋の緒を締めながら立ち上がって
最後の言葉と共に、振り返りながら微笑んだ…
それに、その姉を呼ぶことしか出来なかった…
その決意に、揺るがぬ想いを感じ取りながら…」
緑川「きっ!)ぱぁん!!」
栞「そして子供は、我に返るために自ら両頬を叩き」
緑川「…(微笑)
いってらっしゃい!^^」
栞「微笑みながら、満面の笑みで迎えだしました」
木虎「ええ!^^(頷」
栞「それに答えながら、姉は走り出しました…
たった一つの道を目指して…
共に過ごし続けていたはずだった未来を取り戻すため…」
修「…(ごくっ」
それに対し、手に汗を握りながら
つばを飲み込み、見入っていました…