第19章 劇(退院祝い)
遊真「そんなサイドエフェクトだったのか」
修「超感覚…
全てを見抜き、見通すことができるサイドエフェクト…」
鬼怒田「8歳から8歳半に
空閑有吾に近界に連れられ
様々な文化、風習に触れたわけだが
大人が傍に居る時点では大丈夫だった…
だが、居なくなってからの2年半は…
迫害・差別・偏見・拒絶など
味わうにしては非常に酷なものを経験し続けていた。
拷問まがいなことを、ずっとされ続けていた。
過去の映像を見せてもらったが…実にむごい。
自然と体が意思と関わらず反射的に護ろうと治し
それが意思を持ったトリオンのおかげだと知り
そのトリオンが恵土の体を怪我をさせても自然と治した。
それを見た近界民が利用しようとしたり
どれだけ消え去っても再生するのか
脳を切除したとしても再生するかなどを確認するため
電撃・切断・燃焼・圧迫・
意識がある中、目の前で腸を引きずり出されるなどもあった…
この世界にある拷問全てを行ったようなものだ…
それでも、抵抗しない恵土に
終いには面白がってサンドバックにするありさまで
見るに堪えられないようなものだった。
一番見たくなかったのは…
寄ってたかって
暴言やらをはかれたり、強姦したりといった所だ…
強姦に関しては総合して数回だけだったが…
抵抗すれば殴られ
それでもその後、どんな傷でも数十秒で体は治る。
いくら傷付けられても
即死になるような怪我だとしても治る…
だが…心までは、治らない…
魂の抜け殻になりながら…
ここへ戻るために、何度も近界を渡り続けてきた…
誰も助けてくれる人はいない…
居たとしても、すぐに殺されてしまう…
居場所もなく、よりどころもなく…
一人きりになり、それをあざ笑われながら…
世界は残酷だ…(涙」
遊真(おお。鬼の目にも涙)
鬼怒田「近界の事情で
母親だけの犠牲のはずが、村人全てを奪われ
近界民を渡り歩くや否や
近界民だというだけで何度も殺されかけ
傷付けられ、すべて奪われ続けてきた…
それでも…
見えてから、聴こえてから、感じてから…
既に、抵抗も拒絶も出来ないようになってしまった…
人の心を感じ、その行動によって痛む心を感じ
抵抗も拒絶も出来ず、受け入れる以外出来なかった…」