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鬼神乱舞 【ワールドトリガー】

第17章 助けとしがらみ




菊地原「…確か、一度も忘れられなかったんじゃ?」

風間「ああ。

言われた言葉を、一字一句…
すべて忘れられることもないまま

それを紛らわすために楽しい時を過ごすこともないまま

ずっと一人で…何も言うこともなく…
言われる度に、今まで言われた悪口の全てを思い出しながら…」


菊地原「常人なら死んでますよ、それ」

風間「ああ。

どれほどの苦痛を抱え込んできたのかなど、解らない…


そして、意識を失っている間に記憶を読み取ったのだが…

到底、人の耐えうるそれを超えていた…


それを知っているからこそ…

城戸司令は、長期の任務として許してくれたのだろう。

護衛と監視につくことを」

菊地原「なるほど。

それを理解しているからこそってことか」


風間「…今年や去年は

逆に話されないことが辛いと言えば、少しずつでも話してくれた。


そして、少しずつでも整理がついてきたようにも見えた…


山積みになり過ぎて、どこから手を付ければいいのかさえ分からなくとも…


いつでも聴く。好きなだけ話していい。
だから…

少しでも安心して、幸せになって欲しい…

今まで苦しんできた分…
人に幸せを望み続け、大事にし続けてきた分…

気を使ったり
嫌な思いをさせてしまったらと考え過ぎて悩んだり
それを引きずって何度も謝ったり

ことに、人のことに関しては
誰よりも悩んできたように見えた…


だからこそ、報われて欲しい…

幸せになって欲しい…

そう思わされる…


だからこそ…

目が離せないし、離したくなどない。


人の勝手に巻き込まれ、全てを奪われ

孤立させられ、居場所をなくし、全てをなくし

打ち明けられる相手などいないまま

ずっと抱え込んで苦しみ続けて…


それでいながら、人にはそれを感じさせないよう

笑っていられるよう、明るく笑顔で接し続けてきた…


誰よりも人を憎み、世界を壊してもおかしくない人間が

誰よりも、自分を含まない『人の幸せ』を強く望み続けていた…


反論もせず、何年も言わずに耐え続けてきた…


…本当に幸せになるべき人間は

恵土のような人間なのだと、俺は思っている」


明かされた想い…

それは、とても純粋なものだった…

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