第17章 助けとしがらみ
木虎「なんの…ために?」
恵土「頷く)うん。
まずは、これだけは聴くようにしてるんだ。
答えてくれるか?」
木虎「…私は…」
第一次近界民侵攻時…
周りに誰もいず、トリオン兵のみだった…
そして、必死に逃げ惑うも…
誰も、現れることも無ければ…
救われることもなかった…
必死に走って走って…力尽きた先で
手さぐりに毛布でも投げつけるも
もろともせずに近付いてくるトリオン兵に対し
絶望の表情を浮かべ、目を閉じた…
涙を浮かべながら、殺されることを覚悟して…
ずばぁん!!
「…怪我はないか?(微笑&振り返る」
木虎「!」
「立てるか?^^」
木虎「あ、はい」
そして差し伸べられた手を取り、立ち上がる木虎。
「ここから南西へ迎え、私の仲間がそこにいるから。
もうじき雨が降る。急げ!」
木虎「!はい!」
それから…
大斧を出したまま背負い、ナイフ型のスコーピオンを自然と作り出し
トリオン兵を全て切り裂きまくる怒涛のような疾風が吹き荒れた…
それと同時に、その姿は瞼に深く焼き付いた…
太陽を胸に、私に背を向けながら助け出した
大斧を持って柄に毛布の布の一部を纏った…
あの微笑みと共に、背を向けたまま振り返ってくれた光景を…
両手にナイフ型スコーピオンを持ち
一瞬で、消えたかのようなスピードで
半径30kmの直径=60kmを
20秒で走り抜けながら
上下左右にナイフを振りながら
完璧なまでに、トリオン兵をぶった切る所も…
木虎「あんな風に…
不安も全て背負って、消し去れるような人になれたら…
そう、思ったんです…
そんなあなたのように、護り抜きたいと…
その時、誓ったんです…
私を絶望から救いだしてくれた…
地獄かと思っていた時、夕日と共に照らされて…
その輝きが、私を助け出してくれたことも…
だから私は、護り抜きたい。
あなたのように強く、優しい存在でありたい。
そう、思ったんです」
その理由を黙って聞く恵土…
その答えは…?