第16章 入院生活
迅「…この地区で生き残ったのは、彼だけのようだ」
恵土「そうか…」
その時になって、初めて知った…
恵土が、ボーダーの一員であったことを…
初めて会った、あの時よりも前からそうであったことも…
恵土「秀次」
秀次「ビクッ)!;」
目の前に座る恵土に
思わず後ろに下がろうとしたが
いきなり抱き寄せられた。
恵土「良かった…お前だけでも無事で…
ごめんな…;(ぽろっ」
秀次「!…(涙?」
ふと顔を上げると、そこに見えたのは…
恵土「気付くのが遅れて…
帰って来るのが遅れて…本当にごめん;;(ぼろぼろ」
申し訳なさそうに謝りながら、泣きじゃくる恵土だった…
それから、一ヶ月ほど恵土は
俺と一緒に居て、寄り添い続けてくれた…
だが、その後で遠征に行かないといけないことを伝えられ…
俺は、一人になった
それから、恵土が何度も合間を縫いながら来た。
心配そうに、ただ笑顔で居て欲しいように…
だが、恵土が去っていくよりも前
俺はもう、一つの道を進むことを決めていた…
近界民を駆逐することを…
そして今…
再び、姉を失いかけた…
秀次「恵土姉ちゃん^^(両手差し伸べる」
恵土「お前になら恵土って呼ばれてもいいぞ^^」
幼かった俺を抱き上げながらそう言う恵土が
俺は好きだった…
いつでも、どんな時でも寄り添って
笑顔を見せてくれた。
温かく受け入れてくれた、明るい姿に…
俺はいつでも、救われていた…
だから俺は…
尚更に許せなくなった…近界民という存在を……
だが…
近界民のはずのあいつは…
遊真「俺は恵土のいとこだ。そして未来の夫だ」
恵土を助けた…
心肺停止に陥ったあいつを…
迅「近界民って枠組みでとらえるんじゃなく
一人の人間、生き物って目で見たらどうだ?」
去り際に言われた言葉が、また脳裏をよぎる…
秀次「黙れ…俺は、俺の道を行く!」
迅「遠くない、いつか…
きっと、お前にもわかる日が来るよ(微笑)
恵土の意思も。やろうとしていることも(目を瞑って笑う」
そうして迅は去り…
二人の殴り合いは終わったのだった…