第16章 入院生活
そうして、気付けば感情を失っていた…
何も感じないようになり、生きる意味さえも解らなくなっていた…
生きる意思も宿さない
生きた屍のように歩き続けるしか出来なかった…
生きる上で必要な心を失ったまま…
そんな折、有吾と再会し
2歳の遊真と出会った。
そこで半年間、共に回りながら過ごし続けた…
遊真の純粋さに救われ
真っ直ぐに、接してくれたことからか…
壊れていた心が、少しずつ…
少しずつではあるが戻りつつあり、治っていった…
傷までは治り切らないものの
それでも…その温かさと明るさに、本当に救われた…
出会って2か月も経たない内に、笑顔を取り戻せるようになった…
そして…
別れ際、遊真からの結婚の約束を受け入れ
互いに、指切りを交わした。
そうして、11歳10か月…
1月8日に、ボーダーに入った。
特別な試験を受け、瞬く間にクリアして…
そこでも、居場所と呼べるものを見いだせず…
当時のボーダー全員を相手にして一瞬で倒したという
圧倒的な強さもあったがゆえか
受け入れられることもなく、陰から否定され
居場所となるものも感じられず
耐えきれずにボーダーを出て
三門市のとある公園で野宿するつもりだった…
そんな自分に、話しかけてくれたのが
当時、4歳3か月の秀次だった…
今年の4月から幼稚園に行くのだと、はしゃいでいた。
そんな無邪気さに…
遊真と似たものを感じ、引っ張られるがままに連れ込まれ
そして…共に暮らすこととなった…
それからの日々は、今までからすれば天国で…
その当時、秀次の兄は両親と共に事故で死んでおり
秀次と共に生き残っていた、秀次の6歳年上の姉が頑張っていた…
そうして…
9年前、玉狛支部ができてからも顔を出していっており
4年半前、6月8日に大規模侵攻があり
秀次の姉を失い、秀次はボーダーに入る道を選んだ。
2年3か月2週間も遠征に行かされるはずだったのを
恵土は無理やり戻って参戦し、被害を半数に減らした。
(犠牲者1200人以上、行方不明者400人以上のはずが
600人以上、200人以上となった)
その圧倒的な実力から、『鬼神乱舞』と呼ばれる。