第16章 入院生活
恵土「他に、何もいらなかった…
ただ、また皆と笑えていればっ;
それだけで良かったっ…;(涙」
思い出される、村人たちとの日々…
恵土「それさえも護れないで
生きていることが、ずっと心苦しかった…
見ないようにして、ふたをして…
今を生きて…
少しでもいいから
その負担をかけないようにばっかしてた…
そうしないと、嫌だったから…
それで苦しむ人なんて、見たくもないし
作りたくもなかったからっ!…;
何で…
何で、私だけ生き残ったんだよっ!!;」
脳裏に蘇るのは、全てを失ってから
村の敷地全てを歩いて回った時のこと…
誰もいない…
あの当時にあったものでさえ、何もない…
奇跡的に残っていたのは…
ご神木と祠だけだった…
泣きながら謝るしか出来なかった…
自分がきっかけとなって、村をつぶしてしまったこと…
たった一つだった居場所がなくなったこと…
皆の笑顔を、これからの日々を奪ってしまったこと……
たった一人で背負うには、あまりに重すぎた…
涙が止まらない
苦しみも哀しみも、とめどなく溢れ出てくる…
生きるのが、こんなに苦しいことだとは知らなかった…
ただ、父上のように
『強くなれ。人として本当の意味で…
そして、最後まで生き抜け。悔いのないように(遠い眼&微笑』
強くありたくて…
崖の上、修業を終えてから
夕日を眺めながら言う父上に対し
目を輝かせながら、「うん!」と微笑みながら頷いた
それから、母上が迎えに来て
満面の笑みを浮かべ、慈しむような目を向け
優しく手を差し伸べてこられ、それに満面の笑みを浮かべながら手を取った
そして…母上のように
優しく、全てを包み込む姿に惹かれて…
二人と共に、一本道を歩いていく…
とても強くて、とても優しくて
憧れていた二人の背を見つめ、呟いた…
「いつか絶対、二人を追い抜くから!^^」
そういう自分に、優しい笑みを向けてくれたことも…
温かい、確かな愛情を感じながらも…
そして、それをありのままに受け入れてくれた
変な力を持っていても、後に受け入れてくれた…
そんな村人たちもまた、護り抜きたい存在となっていた…