第16章 入院生活
遊真「…本気だってことは、伝わってきてるよ。
それでも…
十二分に苦しんできた。
だから、あの世に行きかけた時
その母上たちから言われたんじゃないのか?
『安心して…
自分の幸せを求めてあげて
幸せになって、笑顔で過ごして』って
そう言われたんだろ?」
365~366ページ参照
恵土「!…でも」
遊真「…背負うのと引きずるのは似てるようで違う。
背負えば重いし、押しつぶされそうにもなる。
それでも、その時は支えればいい。
それと比べて、引きずるってのは
その変えられない過去で自分を責め続け
ずっと、自分自身を苦しませ続けることだ。
自分を許さないと、前に進めないし
幸せも感じられなくなってしまう。
それは…恵土の母親が一番望んでないことだろ?」
恵土「!」
その言葉に、母の言葉が脳裏で思い返された…
『前を向いて…
今、あなたの傍に居るのは…誰?
あなたのすぐ傍には…
あなたに寄り添って、生きることを望んでくれる人たちがいる…
あなたが生きることを望んで、幸せを望んでくれる人たちがいる…
たとえ、幾多の敵に恵まれようとも…
あなたを信じてくれる人たちが、すぐそこで待っている…
だから恵土…
戻ってもいいのよ?
生きなさい
…その命が、まだ尽きていないのなら…
生きないとダメ…悲しませてはダメ…
あなたが命を懸けて、他の人たちの命を護り抜いたように…
今度はあなたが…護られる番…
それごと(村人たちに護られて生き残ったこと)
あなたに生きていて欲しい…
解るでしょう?その想いも…
恵土…
私たちのことなら、もう大丈夫^^
安心して…
自分の幸せを求めてあげて…(微笑)
(恵土の心臓を動かそうとする遊真を見つめる)
そうじゃないと、どちらも辛いばかりでしょ?
それよりも…
幸せになって、笑顔で過ごして(愛おし気な瞳&微笑』
恵土「つー)…母、上…」
遊真「もう、自分のために生きてもいいんじゃないのか?」
涙が一筋、頬を通して零れ落ちる中
一つの問いかけが、胸をよぎる。
一つの光を背に呟かれた言葉
その姿に、確かな温かさを感じた…
母上と同じような、そんな温かさを……
(11月5日AM3:15更新、423~428(6ページ))