第16章 入院生活
流尾『白帝を媒介に呼び出した所、悪いが
やはり、呼ばれた時に自主的に出るようにしよう。
お前の体の負荷が大き過ぎる』
恵土「…(目を瞑る)
悪い…(うつむく)
いつもだったら、すぐに楽に出せるのに」
流尾『そう気負うな。
状況が状況だっただけに
あの判断は間違っていなかったと思っている。
そうでなければ、死者が出ていた可能性もあったはずだ。
お前は、そんな状況下で命を護り抜いた。
だから、そんなに責めるな』
恵土「…流尾」
流尾『今から戻る。
村の皆もまた、お前が生きることを望んでいる…
忘れるな。
お前も他も、様々なものから生かされている存在だということを…
1つであって、1つの命ではないことを…』
恵土「…ああ」
その直後、流尾は光となって
恵土の体内へと戻っていった…
その後、静寂となっていた…
恵土「……ごめんな、ずっと黙ってて。
それでも、心配かけたくなかった…
こんな使い方、したこともなかったから余計に……」
ばしぃん!!(背を叩く)
太刀川「気にすんなって言ったろ。
それに、お前が寝てる間に
お前に助けられた親子が見舞いに来てたぞ?」
恵土「!え」
太刀川「感謝してた。
と同時に、すっげー心配していた。
死なないでってよ…」
恵土「…」
太刀川「その気持ち…
お前なら、よくわかるはずだろ…
護られて、死んでいったことも
それで、どんな思いをするのかも…」
恵土「…解ってるよ…
それでも、あの時あぁしなければ…
相手にとって策略だったとしても、助けられなかった……
だから…
あぁする以外、何も出来なかった…
逃がして、助け出して…
護り抜くって方法しか…」
太刀川「俺が言いたいのはそういうことじゃねえ」
恵土「?」
太刀川「お前が犠牲になって護ったとして
それに、何の意味があるんだって話だ」
恵土「…」