第3章 戦術
考察中、明け方
レプリカ「動画を見ていて解ったのだが
恵土の利き腕は、どうやら左のようだ。
利き手は右のため、繊細かつ細やかな動きの時に使われ
力が強い左は、豪快かつ荒々しい動きの時に使われている」
遊真「ふむ。
相手の突きの動きを利用しながら
その腕を掴んで引っ張ることで、自身の力を上乗せし
その力の向いた方向、その角度を滑らかに変換しながら
思いのままの方向へ投げ飛ばすと同時に、斬り捨てている。
全身の力や勢いや、かかり具合など全てを把握した上で
それらも全部制御しきることによって
全身の力を一点のみから、一瞬で繰り出す。
これは、繊細なボディコントロールによって行えているんだな」
レプリカ「ああ。
当たらないまでの間は速度をあげて勢いを強め
当たった際の貫通力&衝撃波を伝えることに集中し
それに使う、無駄なトリオンの消耗を抑える。
そして当たった瞬間、0.001秒以内に
全員にトリオンを集中させ、全身の力をその部位に集約し
その力の急激な変化による
自身のダメージを皆無にすると同時に
貫通力×粉砕力を強めているといった形か」
遊真「パワーを強めようとすればスピードが落ち
スピードを強めようとすればパワーが落ちる。
両方を強めようとした結果
その両方を生かすために、必要な切り替えを把握。
と同時に、その切り替えを速めることによって
より重なるように繋げることで、相乗効果を強める。
その相乗効果が現れるまでの時間の差を0.01秒として
全力のパワーとスピードを体現しているんだろうな」
レプリカ「ユーマ、もう朝だ。
皆が起きてくる時間だろう」
遊真「そうだな。
議論はこのくらいにして、恵土を起こすか」
そう言いながら恵土へ向き直り
恵土を揺すって、起こしにかかる遊真たちだった…