第14章 大規模侵攻
恵土『…頼む…動いてくれ…
約束、したんだ…
絶対に、帰るって…
今度ばかりは…守らないと……
あの笑顔を見られなくなっちまう…
頼むから…
泣かないで欲しいから…
通信機があれば…
皆の声が聴けたのに、な……
約束も…果たせそうにないってのに…
ちくしょお…』
そう思う中、ボーダー本部のマークが
モールモッドに隠され、それは恵土へ迫っていた…
恵土『あ…
あの時、必死に倒したのと同じトリオン兵だ…
…ごめんな…
あの時に…
お前の仲間に、痛い思いばかりさせちまって…
報いが来たのかな…
殺される時の皆も…
同じ、感覚…だったの、かな……
ああ…もう、ダメだ……
意識が……遠のいて…』
その後、光を失った瞳は瞼と共に閉じられた…
その少し前、風刃でハイレインを貫いた秀次は
走り出していた…言われた通り、南東部へ…
その折、レプリカの子機が力なく落ち
晴れになって、光が満ち溢れた…
その直後だった…
迅からの通信が入ったのは…
迅「早くトリオン体になって行け!!
恵土が死ぬぞ!!」
三輪「!解っている!!
トリガーオン!」
その切羽詰まった声に、我に返りながら
それを拾い上げて走っていった
本部の情報からすると
ちょうど、恵土が行っていた場所が
最後にトリオン反応があった場所だったらしい
そこにテレパシーを受けながら駆けつけた頃には…
血にまみれながら、力尽きたまま動かない恵土と
今にも襲い掛かろうとしているトリオン兵がいた
それにレッドバレットを打ち込みながら
弧月で切り裂き、恵土をすぐに起こそうと揺さぶりかけた…
だが、その頃にはとうに意識が無く
体も冷たくなりかかっていた…
三輪「っ!」
血の気が引くのを感じた。
それでも、必死に傷口がある部分を恵土のマフラーで縛り
背負って、トリオン体のまま全力で病院へ走り抜けていった
それしか出来なかった…
それ以外、考え付かなかった…
今の俺にできることも…
今まで俺が、恵土にできたことも…
そんな、小さなものでしかなかった……
そうして…
やっとの思いで、ようやく病院に辿り着いた……
(10月26日AM2:25更新、347~355(9ページ))