第2章 田中恵土
遊真「あの虫が怖いのか?」
恵土「怖い;嫌い;苦手;(がたがた」
遊真「しかし、この時期に虫とは珍しいな」
レプリカ「おそらく、床暖房が敷いてあるからだろう。
食糧もあるし、温かい。最適な環境だな」
遊真「なるほど。確かに、外からすれば天国だな」
恵土「そうこういってないで外へ出して;(がたがた」
遊真「潰した方が早くないか?」
レプリカ「潰せば内臓が出て後処理が面倒だ」
遊真「なるほど。それを避けるためか」
そしてつまみ出そうと掴もうとするも…
遊真「タンスの隙間に入ったか。
タンス、移動させるぞ?」
恵土「了解;ひぃ~ん;(震え」
遊真「怯えようが半端じゃないな」
レプリカ「過去に嫌な思いでもさせられたのだろう。
ユーマ、右だ」
遊真「了解」
そしてつまもうとするも…
ぶううううん
遊真「おお!飛んだ」
レプリカ「羽も付いていたから当然だろう」
遊真「お前はいつでも冷静だな」
レプリカ「客観的に見て分析しただけだ。
それよりもいいのか?」
遊真「何がだ?」
レプリカ「震えが激しくなっているぞ、恵土」
遊真「…;」
そんな中…
恵土「きぅ~きぅ~;」
遊真「なんの鳴き声だ?」
レプリカ「おそらく、本能的に助けを求めているのだろう」
そんな時、動き出したものがいた…
雷神丸「耳を立てる)ばふっ」起き上がる
きぃ(扉を開ける)
がりがり(恵土の部屋の前の扉をひっかく)
遊真「ふむ。先輩のお手並み拝見と行くか」
そして遊真が扉を開けると、本棚に歩み寄り
そこに立てかけてあった棒ごとスプレーを落とし
ベッドの上に乗って、窓が開いているのを確認してから
そのスプレーの上に足を乗せ、押した
ぶしゅうううう
全方位にスプレー(殺虫スプレー)による白い煙が
部屋内に立ち込めていき
それから逃げるように、ゴキブリが窓から飛んで逃げていく
遊真「なるほど。そうやって追い出すのか」
そう納得する中
何事もなかったかのように、自室へと帰っていく雷神丸だった…
恵土「ありがと、雷神丸;(震え」
それから殺虫スプレーの中身を
トリオンというエネルギー体を
質ごと殺虫剤という物質へ変換し、満タンにしてから
やっと、安眠についたのだそうな…