第11章 スキー合宿
その少し前、恵土が日本刀を抱き締めている間
置いて行っても
お釣りが来るほどのトリオン量を手にしたとのことで
近界民は近界に帰り、トリオン兵は置いて行かれた…
その結果、見つからないように
自力で押さえ込んでいたトリオンが漏れ出し…
トリオン兵は
それに反応したかのように集まり、見つかった…
しかし、その動揺よりも遥かに…
村人たちの血を浴びたトリオン兵が
次々に現れるのを見て…
怒りと憎しみと哀しみが上回った…
恵土「うっ…
うわああああああああああああああ!!」
それに、涙ながらに刀を引き抜き
トリオン兵へ向けて走り出す。
モールモッドへ向けて、振り下ろす…
斬られたトリオン兵は
トリオンが凄まじい勢いで出て行き
恵土の手と日本刀には
トリオン兵についていた返り血が返って来る…
それに気付かず
必死になって、トリオン兵を倒し続けていた…
そして、その内に気付く…
やらないとやられる…
殺さないと殺される…
寝れば殺される…
1日半…長い時が終わりを告げる中…
地獄を、朝焼けが包み込む中
気が休まることのない時が、未だに続いていた…
その精神は壊れていた…
粉々に…細かく、小さく…
それが、最初の精神崩壊とも呼べる
白と黒が暗転したかのように感じるほどの苦しみだった…
その後、半年の間
有吾に保護されるものの…
その後の3年何か月もの間
周囲から殺されかけたり、私の不幸を望む皆を殺されたり…
様々な地獄ばかりを、今まで味わい続けてきた…
母上と同じようなことを想う者ばかり…
こんなことなら、理解者なんていない方が…
そう思うことばかりだった…
誰もいない方が
全員が全員、自分を否定して拒否して殺そうとしてくれれば…
痛みばかりが、心の中にはびこり続けるばかり…