第2章 田中恵土
夜12時になった頃
お風呂とかを終わらせ、もう寝る体制になっていた中
小南「やっぱり、全部引っ張り出す価値はあるわね」
リビングのテレビをつけたまま、未だに見続ける小南がいた…
小南「見ていて、本当に凄いって事がよく解る…
引き込まれるほどに…ねえ?遊真」
そう言いながら同意を求めるように振り返るも…
無論、そこには誰もいなかった;
小南「…バカーッ!!;」
それで恥ずかしくなって、部屋へと寝に行く小南だった…;
その後、雨が降り出した…
とても、切なげな雰囲気を出しながら…
所戻って、恵土の部屋…
恵土「…
こんな音聴いてたら、3月22日のことを思い出すな…
明け方に来られて
その後、雨の降る中…
必死に、駆け付けようとした…
でも、そこに残ってたのは…
ただの瓦礫の山…
自分にとって全てだった、死骸の数々…
あの時、一生分泣いたんじゃないのかってほど
泣きじゃくって…
今は…滲む程度だけで…」
遊真「ふむ。
泣けないのは多分、抑えているからなんじゃないのか?」
恵土「抑え?」
遊真「ん~。よくわかんないけど…
自分の気持ちとか、そういうの」
恵土「…自分には、泣く資格もない。
生きている資格も…
自分ただ一人が、消えてしまえばいいってだけなのにな…」
その眼は、どこか死んでいるようにも見え
暗くよどみ、荒んでいた。
遊真「今生きているから、いいんじゃないの?
そんな風に資格って言ってたら
最終的には、全員が死なないといけなくなるし」
恵土「そうじゃない!」
そう言った直後、眉間にしわを寄せながら
苦しそうな顔をし、拳を握り締めながら叫んでいた…
遊真「?」
恵土「そうじゃないんだ…(拳握り、震える)
ただ…
ただ、同じ思いを味あわせたくなんかないんだ…」