第11章 スキー合宿
そうして恵土は、抱き締められたまま
過去の傷を思い起こしながら、自分を責め
その傷に、涙を流していた…
心の痛みを紡ぎ出すように…
木虎「今を、生きて下さい…
簡単なことじゃないかもしれないけれど…
過去を思い出して、何度も自分を責めても…
時間は戻らない…
その間、できるはずだったことができなくなってしまう…
楽しかった思い出を紡げるはずだったのに
それが、苦しみや哀しみや痛みばかりが胸の内に広がってしまう…
私にとっては…
その方が、本当に辛いんです…(涙)
苦しんでいたのに、寄り添えられなかった…
その悲しみから、助け出せてないことにも…
いつだって、すぐ傍に居てくれたのに…
何も出来てなかったんじゃないのかって…」
恵土「そんなこと!
木虎「ですから…お願いだから…
自分を、そんなに責めないで下さい…
今を楽しんで、心の底から笑っていて下さい…
私にとっては、そのことが本当に嬉しいんです。
あなたが、私にそう言ってくれたように…!
そう学ばせてくれたようにっ!!(ぽろぽろ)
ぐすっ…
辛いかもしれない。苦しいかもしれない…
それでも笑って、私の幸せを望んでくれる。
私のために泣いてくれる…
怒ってくれる、悲しんでくれる…
それが…
その寄り添ってくれたことが…
本当に励みになって、救いになってくれたんです…
だから…
今度は、私にも返させてください…
そのために…
今までずっと、ついてきたんですから…」
ふと思い起こされる記憶…
それは、去っていく背中を見つめながら
それを追おうとする木虎の姿…
それに対し、笑顔で振り向き
それに寄り添おうとする恵土…
自分も助けになりたい…
その想いがこみあげては…涙が零れ落ちていく…
互いの想いが解るからこそ…
恵土「引きずっていてはダメだ…
逆に、苦しませることになるんだ…
自分も…
その自分を大事に想ってくれる人でさえも…;(ぼろぼろ」
涙でぼろぼろになり
木虎を抱き返しながら、恵土は悟った…
本当に向き合うべきものと
乗り越えるべきものと、今自分がすべきことを…