第10章 大晦日&正月
遊真「恵土って、本当にいい人だな」
恵土「いい人とは言えねぇさ…
相手が、そうしたくても無理やり止めてんだ。
それに
いい人だと決めるのは…お前だけじゃない。
そうされた人自身だ」
遊真「なるほど…
それより気になってたんだが…
姉は殺されたんじゃないんだろ?」
三雲「なっ!;
(姉がいたのか…;)
何でいきなり人の傷口n
遊真「確かに
村は壊滅したってことは聴いた…
けれど、姉を殺されたってことは
一度も聴いていない」
三雲「!…確かに」
太刀川「なるほど。
確かに、それには触れられていなかったな」
遊真「前に言っていたのは
『必死に、自分の家の跡地へ向かって
転びそうになりながらも走っていくと…
そこには、両親がいた…
正確には、『だったもの』が…』
(57ページ参照)
『田中家の次女、田中恵土!』
(153ページ参照)
としか言われてなかったしな。
姉には触れていなかった。
もしかしたら、生きているのか?」
恵土「…死んでるよ…
最初に失った人で、目の前で殺された者だ…
熊が、相手だったんだ…
たった、5歳の時の話だ。
7歳の姉ちゃんと一緒に、山に行った…
ただ、栗拾いとか
そういうのだけだったんだ…
でも…
ただ、父上と母上を喜ばせたいだけだったんだが…
予期しない時に、いきなり熊が来て…
いきなり目の前で奪っていった…
すぐに駆けつけて揺すっても、何も返事なんてなくって…
即死だったらしい…
それで、こっちが危ない時には
父上が駆けつけてくれて助かった…
でも…
生き残っても、嬉しくなんてなかった…
それでも…
それがなければ
これほどの実力が身に付くまで、必死にならなかったと思う。
だから…
ねっちゃんは、それで死んだり殺すことを望む人じゃないから…
熊を殺さないでってことで落ち着いて……
ってわけで、ぱっぱと下に戻って遊びますか」
太刀川「そうか。
じゃあ、後で花札でもしないか?」
恵土「いいね。やろう(微笑」
意外な所で、意外なことが解りました…