第10章 大晦日&正月
暗い目をしながら言った…
恵土「ああ…
自分なんかは
たとえどうなろうが、どうだっていいんだって…
少なくとも…
私が、今まで関わってきた人間は…全員……」
遊真「そりゃ荒むな」
恵土「だからさ…
そういう奴等になんかはなりたくない…
同じ思いを…
同じ苦しみや悩みを、与えたくはないって…
救い出してくれる人もいず
暗闇の中を一人っきりで、歩いていく…
その心細さも、拭い去れない哀しみも
聴いてくれない苦しみも、相談しようにもできないような現状も……
本当に…味わった人たちにしか解らないって思う…
それでも、寄り添おうとしてくれる人がいた…
その気持ちは全部が全部わからなくとも
それを少しでもマシにしたい。助けたい…
その想いさえあれば、救われるんだ…
だから、助けたいって思ってる」
遊真「殺してきた奴だとしてもか?」
恵土「…うん。
各々には、事情があって
それまでの経緯があって、行動している。
だからさ…
どうしたって、聴かなきゃわからないことばかりだ。
星の存続を維持するためだったり
自分と大切な人の生活を護るためだったり
自分として、生きていくためだったり…
それこそ、色々とさ…
だから…
私は、どうしてもそれを憎むことができない…
苦しんで、悲しんで…
誰にも打ち明けられないで、間違った方向に行く…
それを見る度、思うんだ…
自分も…そうなっていたかもしれないって…
私はさ、何度も失った…
失っては生まれて
(すべて失って、一人っきりの時
有吾が笑いながら受け入れて来てくれた)
生まれてはまた失って…
(近界民の人たちの中で笑って受け容れる人がいて
その人たちが、その人たちと同じ国の近界民に殺されて…)
護れないものも、たくさんあった…
その度に、自分を責めた。悔いた…
何のために、今まで必死に頑張ってきたんだって…
何のために…
頑張って、力を身につけてきたんだって…
だから…
もう二度と、同じ思いは味あわせたくはないんだよ…
あんな思いを味あわせたくはない…」