第2章 田中恵土
その後
遊真「で、恵土はどうやって親父に出会ったんだ?」
恵土「…あの時…
私は、トリオン体なのかどうかを判別して
トリオン体だけを攻撃していたんだ…
それだけに、必死になっていた…
集中をとぎらせれば、殺されて奪われる。
そう、解っていたから…
で、トリオン体でボーダーが来ていて
必死になって、日本刀で切り刻んでいったんだ…
人の形をしていても、敵だって…
やりゃなきゃ、やられるって…
でも…
それを抱き締めて止めてくれたのが、有吾だったんだ…」
遊真「ふむふむ
(間合いをさらに詰めて、振り下ろせなくしたのか?」
恵土「…あの時、刀を振り下ろした…
はずだった…でも、その中抱き締めて…
刀を触れないように、動けないように強く抱き締められた…
そんでもって、こう言われたんだ…
『…もう、大丈夫だ。
俺たちは、お前の父親と母親の友達だ。
助けが間に合わなくて、すまなかった』って…
本当に、辛そうな顔をしてさ…
そう言われた途端…
1日半、ずっとぶっ続けで暴れ続けていた分…
やっと…ふぅっと、力が抜けたんだ…
もう、大丈夫なんだって…」
遊真「なるほどな。
それで、その後で親父がネイバーフッドに連れてきたと」
恵土「そう。
ネイバーフッドで、ネイバーがどのように過ごしているか。
基本的には…あまり変わらなかった。
人間は、どこまでいっても人間で…
温厚な人もいれば、十人十色。
人によって、育った環境によっていろいろ変わる。
全く同じ人なんていない…
と同時に、全員が全員
襲って来ようとした人じゃないって解った…
それで、ネイバー全員が敵じゃないんだって…」
遊真「じゃあ、俺がネイバーでも気にしないのか?」
恵土「何言ってんだ?遊真は遊真だろ。
第一、ネイバーだったら殺すとかだったら
そんなの、外国人だから殺すって言うのと同じだろ?
ただの偏見と先入観で決めつけることはしない主義だ」
遊真「正論だな(にっ」
恵土「?(何で笑われてるんだろ?」
その笑みが
そう言われたことの喜びによるものだと気付くのは
まだまだ先だった…