第46章 解禁
恵土「ん~」
菊地原「どうかしたんですか?」
27日朝、寝返りを苦しそうな声でする恵土に対して呟くと…
恵土「つかれた。
周りのせいにしてるって思われてもおかしくないのかな、やっぱり」
菊地原「僕だったら
その当時…
助けようとも力になろうともしてくれなかった人に、今更何言われても堪えないって言うけど?
終わってから後でなら、誰だって好き勝手言えるよ。
その苦しい出来事が終わってない時に、何もしてくれなかった人に
終わった後になってから、なんだかんだ言われても説得力ないでしょ?
だから、さいてーじゃない。
相手を思いやり過ぎて体調崩そうが、どうなろうが…
僕はあんたのことを、そうは思えない。
第一、誰よりも相手のことを考えようとしてるでしょ?」
恵土「でも、完璧じゃないよ。
だって…
自分そのものじゃないから、どうしたって足りない部分が生じる。
助けたいのに、全部が全部助けられるわけじゃない。
それが苦しくてたまらなくなって、息苦しくって…
一番苦しいのは本人なのに、どうしたって見過ごせなくって……
だから、その分どうしたって苦しく感じてしまうんだ。
ずっと…その気持ちに、苦しまされてきたから…
それが、よく解るから……
だから結局の所、その人自身にはなれなくても…
苦しくてたまらなく感じる、視ていなくても感じ取ってしまう。
他の人になくても、五感と同じように感じ取ってしまうから…
無意識の内に、人混みの中に居れば
その空間の中にいる人
すべての考えやら苦しみやらまで、感じ取ってしまう。
いっぺんに感じるそれらは…
到底、耐えられるものじゃなくって……
人酔いっていうか、それのひどいバージョンになって…
さいなまれていくんだ。いつまでも…
「お前が居なかったら、こんなことはしなかった」
その言葉も、感情も…想いも……
その行為自体が
私をいじめること自体が、相手の心の拠り所になってたことも
その言葉が本気だってことも
うっとおしいとかウザいとか色々感じて、そういうことをしているってことも…
『居なければよかった』
そう思わざるを得なくなっていって…
気付けば、感情が亡くなったはずだった。
それで、楽なはずだったのに…
蘇ってから余計に感じるんだ」