第45章 呪い
風間(誰にも相談できないまま、抱え込んでいれば
いつ爆発を起こすか解らない爆弾を抱えているのも同じだ。
始末に悪く、それでいながら話せないからなおさらに辛い。
話したい時に、話す事さえもできないのは特に…
少しでもいい、話して楽になれば…
それは、単なるその場しのぎの解決法だった。
そんな容易な問題じゃないことを
複雑に絡み合ったが故の問題なのだということを、解った。
それを続けていれば、きっと恵土先輩は…
絶対に潰れて、ノイローゼになってしまうだろう。
誰もが爆弾を抱えている。
触れてない欲しい部分がある。
それでも、理解されないことの方が多い。
伝えなければ、考えは解らない。
それと同じように、ずっと抱え込んで…
流しそうになる涙も、感情までも飲み込んで……
押し殺して何十年も生きてきたこの人は
それが、既に日常になっている。
このままではダメだと解っていない。
泣き叫びたい以上に押したまったそれは、きっと…)
恵土「どうして?…」
その眼には、涙が浮かんでいた。
欲しいものをくれると見せかけて、裏切られるのか?
信じていたものが、崩れ去っていくのか?
知り合ったのが1日とはいえ、あれほど辛かったそれが
2か月も知り合っていたそれが、また崩れていくのか。
それとも、今度こそは本当なのか?
そんな疑いをわずかに感じられる中
そう言ってくれたことに対する嬉しさも含まれていたことを感じた。
菊地原「…だって…
あんたは
こんな僕にだって、寄り添って聴いてくれたでしょ?
普通なら、勝手にいやがって離れていって
ろくに知ろうともしないまま、距離を取っていくはずだったから……
それなのに、あんたは離れようともしなかった。
嬉しそうに、勝手に肩組んで
どんだけ嫌味零そうが、あんたが笑って受け容れてくれたでしょ(溜息」
恵土「!(涙」
その直後、泣きそうな顔から涙が零れ落ちた。
ちゃんと見てくれていた。
その言葉が感情を蘇らせ
涙が頬を伝って、膝に頭を乗せて眠る三輪へ落ちていった。
菊地原「…(微笑)
そんな人、あんたが初めてなんだから。
あんだけ悪態つかれて離れないなんて…
嫌われてるなんて思いもしない、バカぐらいだし」
恵土を見つめながら続ける…