第45章 呪い
恵土「てめーらにはどう視えてるかは知らねえけどな
私は、いい人なんかじゃない。
誰かが傷付くのが嫌なだけの…
ただの、逃げてばかりの腰抜けやろーだ」
そんな中、再び伝わってくる。
過去の想い出と、その当時に抱いていた思いも…
「いたぞー!!」
『血だ!!』
『身体だ!!』
恵土「逃げないと!!逃げないと…(震」
がっ!
恵土「あ!!」
ずさぁ!!
走る中、つまづいてこけた。
恵土「っ!!(振り返る」
「捕まえ」
がぁん!!
そこをおさえられた中
「がはっ!!」
押さえた男の血が、顔と上半身に降りかかる。
恵土「!!(青ざめ」
それに顔を青ざめる中
「俺のもんだ!!」
「邪魔すんな!!」
「お前が死ね!!」
「俺だけのもんだ!!!」
「俺が独占するんだ!!!!」
各々がそう言い合い、殺し合っていた。
恵土「!」
そんな中
恵土は男をそっとどかせてから立ち上がって
走り出していた。
「!逃げたぞ!!」
「追えー!!」
恵土(逃げなきゃ…
逃げないと、誰かが死ぬ。
逃げなきゃ早く
早く!!;(ぎゅ)
早く!!!)
目を瞑りながら必死に走る中、声がかかってくる。
「お前がいたから死んだんだ」
「仇め!」
「私の夫を返して!!」
しかし、同時にまた聞こえてくるのは…
(こいつを手に入れれば一生楽できる!)
(大義名分、名誉も手に入る!)
(血をよこして!老いてきた私を若返らせて!!)
あまりに利己的で
まがまがしい何かに見えたそれは、人の形をしていて…
とてもではないが、見てられるものではなかった。
恵土(何で、生きなきゃいけないの?
どうして、生きることを望まないといけないの?
いらない。
こんな命なら、ない方がいい。
もしも逆だったら…
見ていてイライラする。
でも……
でも…
それ以外にどうしろっていうんだよ!!
私が捕まったら、そしたら奪い合いになって殺し合いになって…
もっと…
もっとたくさん人が死ぬ;
私が居ちゃいけないんだ!!
死ななきゃいけないのに何で死ねないの!!;
もう生きたくない!!
誰かを殺す命なら、ない方がよっぽどいい!;;
何でわかってくれないの!!!;
何で…
誰も、こたえてくれないのっ!!!!;;)