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鬼神乱舞 【ワールドトリガー】

第45章 呪い




そんな中、気まずそうに口を開こうとしていた。

気になっていたはずのことを教えることができなかった。


それは、ただ…

それを見る度に、思い出して欲しくなくて…


それごと、辛い想い出も感情までもがよぎって

きっと、その度に秀次が傷付く。


『自分が動けなかったから』

『目の前に居たのに』

当時、口々に言われていた。


涙ながらに、謝られた。

姉さんにも、恵土にも謝って、涙を零し続けていた。


申し訳なさそうに声を震わせながら

嗚咽と共に、拳を握り締めて肩を震わせながら…


雨に撃たれ、それでもなお傘も差そうともせず…

入ろうともせず、それよりも……


それらから護れないまま、遠征に行こうとしていた自分が嫌だった。

それでも、そんな自分をも大事に想ってくれた秀次だったから……



だから、護りたかった。

それでも、前に進むためには言ってた方がいいのは解ってて…


だけど、伝えられなかった。


話したくないし、想い出したくないと言った方が正しいかもしれない。

だけど、秀次にとっては違うかもしれない。



ただの、自分のエゴのようなもので

ずっと、もやもやしていたかもしれない。


そう思うと、恵土はジッとはしていられなくて…



恵土「…言えなくt
秀次「言えなかった理由は解っている」

恵土「でも!」
秀次「謝らなくていい」
恵土「!!(驚」

秀次「お前が言おうとしていることぐらいは解ってる。

俺のことを想ってのことだということも
俺が気にしていたことを気に病んでいることも…


だから、先に言っておく。


俺はもう、後悔していない」

そう言いながら
恵土の肩を引っ張り、目を見つめ合うよう距離を近づけた。


恵土「え」

秀次「俺は…

あんたが居たから、前に進めた。


それだけの力を、お前のおかげで身につけられた。

あんたも…そうなんだろ?」


恵土「……うん(頷」

その脳裏によぎるのは、過去に遭った日々と

近界民であろうがなかろうが
人々にされてきた、悪夢以上の苦しみや辛さや痛み…


秀次「…俺は、あんたのおかげで本当に楽しかった。

ずっと、ピリピリした感じだった家が
あっという間に明るくなった…

優しく、温かい雰囲気に包まれていたから」

その脳裏によぎるのは、昔から抱いてきたもの

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