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鬼神乱舞 【ワールドトリガー】

第45章 呪い




「この想いを、どうか叶えさせて下さい。


この子には、どうか安らかな平穏を;

さすれば…


私は生涯、この土地と共に結ばれましょう。

この身はどうあってもかまいません。


どうか…

どうか、この子たちだけは;;」


そう泣きふせる姿はあまりにも痛々しく

その声も震え、鼻声になっていた。


その涙が、言霊が土地へ届いた時

不思議な現象が起こった。


泣き伏びながら切に願った時

その土地から光が溢れ出、そのものを包み込んだ。



その刹那
力を宿した子が産まれたと同時に、別の空間を生み出し

邪なるものを、その空間へと封印せしめた。


それと共に、その土地に元来あった四季も戻り

自然も、生き物も生きられる場所へと蘇った。



そして、紅は一つの大樹となり

今でいうところの、ご神木と相成った。


その後、残された人たちの手によって祠が建てられ

救ってくれた『紅』と
始祖神の身体を宿した『神聖な土地』を奉るものとして遺した。



その子の名は、いづな。


いつの時でも
誰が相手であっても、共に笑い合えるよう…

いつでも、幸せを感じられるように…


いつ見き時も、平穏に…

幸せに生きてさえいれば、それだけで……(涙)


そんな願いを込めて、つけられた名前だった。



その平穏が、どれだけ恵まれた時か解るからこそ

あり続けられるよう願って、今もなお生き続けている……


しかし、それと同時に呪いを受けることになった。



封印されたものたちから見れば

人を殺すという自由を奪った、悪でしかなかった。


それが故か

時折現れる『不運』が、より顕著となっていた。


それにより、死ぬものも多かった。

我々一族は、呪いを受けている。
だが、それは始祖神の力を引き継ぐ者たちのみ。


誤解を受けやすかったり、負の感情を抱かれやすかったり
時には人から傷付けられ、殺されかけ続けていた。

それは、一族の死が
妖怪たちの自由へと繋がるからこそだった。


その上、神の力によって

子を遺すか、力を誰かに譲渡しない限り
普通なら死ぬとしても勝手に治ってしまい、死なない身体となってしまった。


しかし、その力は一族の中でも限られており

それ以外に譲渡することは不可能だった。



一族の初代、いづなが死んだのも違う理由…

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