第45章 呪い
そうして、その大陸に居た日本人が
食糧不足があった時には、互いに争い合っていた。
生き残るために、協力し合うものもいれば
争い合って、自らのみの利益にしようとするものまで…
2万年前、海上へ出てきてから
その身体の一部と力が共に封印された土地には
その邪気を祓い、寄せ付けない何かがあり続けていた。
それは、始祖神が持っていた神が故の浄化の力…
慈しみ、平和を願うが故に四季が存在しており
その土地は、美しい大地があり続けたという……
それから、3881年前まで時は進み
食糧難が激化した頃には…
争いは激化し、村を村で潰し合うようなことになってしまった。
3880年前、その土地に逃げ延びた人たちがいた。
争いばかりで、身も心も疲れ果てた人たちが集まって
身を寄せ合って、最後に辿り着いた場所だったそうだ。
そんな人たちだからこそ
始祖神の一部は、自身を護るために張っていたはずの強力な結界を外し
受け入れ、住むことを許したのかもしれない。
しかし、それとほぼ同時に
争い合っていたことによってはびこっていた邪気が、力の影響を受け
形を変え始めた。
その力によって姿をなし
自らの意思を持って、人々を襲いだしていた。
それは、人々に『妖怪』と呼ばれた。
妖怪とは、己の中に潜む邪なる感情のこと…
それが形となって
生き物となって、今度は己自身をも殺しだした。
それら双方によって、大地はひどく傷付き
その地に溢れんばかりにあった実りも、自然も
四季までもが、大きく乱れることとなった。
そんな時…
そのような状況に涙し、祈りを捧げるものがいた。
名を『紅(くれない)』
邪がはびこり、人間と妖怪が争い合っていた時代…
それを憂い、彼女は土地に泣きふせっていた。
土地も、生き物も、自然も…
それらのことを想って、ただ一人……
涙と共に祈り、叫んだ。
何も飲まず食わずで、それこそ必死に…
「我々は、共に過ごしていた地を追い出された。
勝手な争いで、踏みにじられて
お腹の中の子の親も、殺されました。
もうこれ以上、誰かに
このような思いを与えたくはない;
このような哀しみは、繰り返させたくはない;;」
そう、涙と共に
『慈』、『愛』に満ちた言霊が、土地へ降り注いだ。