第45章 呪い
『!!』
秀次「あの時、俺は頭がついていかなくて
尋ねても聞いても眠りについたままだったから、気にしないようにしていた。
尋ねれば、それが壊れてしまいそうで言い出せなかったのもあるが…
それでも、呼び覚ましていいもんでもないような気がしていた」
菊地原「神の力を使い切って死ぬってのは、何だったんだか(溜息」
風間「最近になって思い出したという方が妥当だろうな。
おそらく、恵土が住んでいた村の祠で記憶を取り戻した時だろう。
それまでは、その記憶に蓋をしていて
無意識の内に『嫌われる呪いがかかっている』という周囲からの言葉を飲み込み
一人でも生きていくために、忘れようと奥底に封印していたんだろう。
俺たちには、気付かせまいと満面の笑みを見せながら……」
壁を背に腕組みをしながら
一言一言、考えながら言葉をポツリポツリと紡ぎ出していた。
『……』
それに静かになる中…
レイジ「この問題については、他言無用とする。
本人が話したい時になってからの方がいいと俺は思う」
迅「俺も同感だ。
無理に話せば、きっと恵土自身の精神が耐えられない。
おそらく…
ただでさえ、忘れていたはずのそれを思い出して
混乱しているはずだからな」
秀次「……
おい、迅」
迅「ん?どうした?秀次」
秀次「…バムスターは、トリオン器官を取る際に
突き刺す管のようなものが出る形態になると聴いた。
恵土はかたくなに教えようとはしないが
あの時、俺たちの前に現れたそれはバムスターだったのか?」
迅「…
ああ、そうだ。
あいつの場合、そういうのに特化したものだって
聴いた直後に解ったんだろうが、そうしたら…
きっと、バムスターを見る度に辛いだろうって思ったんだろうな。
心を乱せば、隙を与える。
無論、秀次の危険性も上がってしまう。
もしベイルアウトできない状態でそれに陥れば…
そう考えてのことだったんだろうな。
でも…
今はもう、それで取り乱すようなことはしないだろう?」
秀次「………
そうだな。
(目を瞑る)
『恵土!^^(両手を伸ばす』当時4歳
「たかいたかーい!!^^♪」両脇に両手を入れて抱き上げ、その場で右回転する。
『あははっ!!^^♪(きゃっきゃっ!』
俺は…
それよりも、大事なものを得た。