第44章 ボーダーでの日々
そう…そのはずだったんだ……
(作戦室で菊地原は思い出してた)
恵土「きくっちー、誕生日おめでとう!^^」
いきなりの不意打ちに、ふと涙が零れ出た。
『散々嫌がらせしたのに、毒舌でぼろくそに言ったのに…
それなのに、何で……?』
そんな思いばかりが、胸に込み上げてきた…
『得なんて、一つもないでしょ?なのに何で?』
恵土「得ならあるよ。
お前が幸せを感じて、笑っててくれるのが
私は嬉しい!^^//」
心底嬉しそうに笑うそれは…
『何それ…意味、わかんないっ//;(涙』
僕には眩し過ぎて…涙が、止まらなかった…;
ひねくれて俺とか言ってた。毒舌ばかりはいてきた。
どうせ陰で言われるんだから、これぐらい言わなきゃってぐらい
それでも、恵土先輩からは
そんなものが聞こえたことは、全くもってなかった。
声をひきつらせながら、つまらせながら言う中
恵土「きくっちー…
確かに、私はお前に散々に言われたよ?
それでも…お前なりの自己表現って奴だろ?
やり方ってのは、人によって違うし色々あるもんだ。
簡単に、それが形成されるわけじゃないってのも知ってる。
だから…否定したくはないんだ(微笑&なでなで)
お前のそれは、きっと…
聞きたくないものまで聞こえたことでできたと思うから……
私の場合、それでも無理やり貫いてきたんだけどな^^;
でも…
本当によかったって思うんだ。
お前に会えて、こうやってぶつかり合えて…
こんなに本音とか丸ごと全部ぶつけあって、ぎゃいぎゃいやったり…//
そういうの、初めてだったから^^//」
嬉しそうに笑うそれを見て、僕は悟った。
この人も、聞こえていた…
それでも、それで態度を変えられたりするのが嫌で
けれど相手は変わってくれないから、せめて同じ思いをさせたくなくて…
だから、耐えてるんだ……
だからこそ、その上でそれごと受け入れて
今もなお、真っ直ぐに向き合い続けているんだって解った…
恵土「だからきくっちー
私は、そんなに怒ってないよ?
確かに毒舌祭りにはイラッてきて、まず手を出すけど
『出すなよ;』
その言葉に思わずツッコむ中、また心に残るような言葉を言ってきた。
それはとても温かくて真っ直ぐで…
こんな僕を、優しく包み入れてくれた……