第44章 ボーダーでの日々
あの時だって、そうだった…
恵土「大丈夫か!?」
菊地原「余計なお世話!」
恵土先輩が割って入って、不良を気絶させて倒し
そう叫び聞く中、僕はそう叫んでからポケットに両手を突っ込んで帰っていった。
雨の中、傘も差さないまま歩いて…
恵土「…気をつけろよ!」
菊地原「ふんっ(どうせ偽善でしょ(睨」
困り顔になりながらも、そう心配そうに叫ぶのを見て
僕は思っていた。
どうせ偽善、そんな見た目だけの優しさなんて要らなかった…
両親のような人間、早々いるわけがないって否が応でも解った。
その翌日、どでかいケーキが送られてきた。
『生まれてきてくれて
生きてくれて、本当にありがとう』
その時、温かい何かが込み上げてきて…
気付けば、笑っていた。
菊地原「なんだ、これ…//」
こそばゆいような、不思議な感覚(微笑)
そしてそれが、恵土先輩からの最初の誕生日プレゼントだった。
名誉市民だとか何だとかって
テレビで言ってたけど、当時の僕は興味がなかったから覚えてなかった。
けれど…
少しだけ、世界観が変わった。
恵土と一緒に居て、なおさらに否が応でも変えられていった。
僕の場合、生まれつき耳がよかった。
だから、なおさらに人が零した思いだとか何だとかまで聞こえていたし
心臓の音まで聞こえていたから、余計に人ってものに苛立っていた。
「聞こえてるんじゃねえ?」
「しらねーよばーか!」
「聞こえていてもいいじゃん。事実なんだから」
あざ笑うような声が聞こえた。
終いには
あることないこと振りまいて、楽しそうに笑っていた。
聞こえている側からすれば、怒らないわけがなかった。
最初こそ怒ってたものの、後で地獄耳だかなんだか余計にひどくなるから…
最後には、諦めて聞き流すのが普通になっていた。
でも、聴こえているという事実は覆らないから
イライラだけが募っていった。
どれだけ耐えていようが
それを見せつけるかのように踏みにじるように見えてた。
だからこそ、余計に人ってものが醜く見えて…
人と接する時に変にひねくれたり、言えない分言ったりして毒舌になってた。
それで距離を取られようが、別にそれでも構わなかった。
誕生会で誰も来られなかろうが、そっちの方が安心したから…
両親さえいれば…