第44章 ボーダーでの日々
生きてりゃ、苦しいことばかりで投げ出したくもなる。
それでも、同じ思いをさせるくらいならって必死だった。
本当は憎んでた。憎みたかった。
この世界も、人って存在自身にも…
それでも、そんなことしたって仕方ないって思ったんだ。
だって…それで、あの日々を
笑い合える時間を、壊していいことにはならないから…
その想いは…
一番、味あわせちゃいけないものだから…
それがどんなものか、その後でどう思うのかはよくわかってるから……
だからずっと…
それを押し殺して生きてきた。
やっていいって理由にはならないし
それで苦しむ人たちを見るよりは
今ある幸せを感じて、笑ってて欲しいって本気で想うから^^」
遊真「…『究極のお人好し』を通り越して、『強者』になったな(微笑」
いつの間にか星空が見え
月と星が屋上を明るく照らす中、その目に遊真の微笑みが映った。
恵土「…そんなんじゃないよ。
だって…
誰もが抱くもんで、本当は誰もが想えるもんだから。
それを強く持って生きていくってのが難しいのは解ってる。
ぶつけたくもなった。
怒りに我を失って、トリオン兵を切り刻んだ。
後になって、トリオン兵についてた返り血を浴びていたことに気付いた。
何でもかんでも壊していいってことにはならない。
怒りも解る、憎しみが生まれたのも解る。
近界民全てを駆逐しようって思ったのも解る。
けれど、それだけじゃダメなんだって解った。
……
ずっと、一人で考えるしかなかった。
近界を渡り歩いて、向き合って、拒絶されて…
力を見て、利用しようと実験台にされたりもしたし
腹を切り裂かれて腸を引きずり出されても生きるかだの
回復する理由だとか、それでも生きてる理由だとか…
散々だった。
優しくしてくれた人もいたけど
殺されて、居場所はどこかしこも奪われていって…
そんでも不思議なんだ…
いつの間にか、殺したいって感情も怒りも
嬉しいとか楽しいって感情も、段々と薄れていった。
燃え上がるような、自身の身を焦がすような感情が溢れ出てきてたはずなのに…
慣れてきたからなのかもしれない。
それでも、護りたいって必死になれたんだ。
その想いだけは変わらなくて…
あ~もう。何言いたいんだろうな、私は;(がしがし」