第44章 ボーダーでの日々
恵土「だって半分本気だもん、居座ってもいい?」
菊地原「誰がさせるか!」
生まれ育った環境で、人は変わる。
でも…
変わらないものは、一つだけある。
見失っちゃいけないもの。大切なもの…
それは…失った後で気付くものかもしれない。
それでも…
失った後だからこそ、得る幸せもあるのではないかと最近気づいた。
それが確かなものかはわからない。
それでも、傍にある幸せに気付ければ…
それだけで、他はどうでもいいと感じてしまう。
それこそ、情熱を失った壊れ物のように見えるかもしれない。
でも…仕方ないと思ってしまう自分がいる。
だって…
私にとっては、それが全てだったから……
見えるもの聞こえるもの感じるもの…
それらはすべて、制限がある。
自分自身にある容量があって、それを超えることをして倒れた。
何度も何度も倒れても、それで誰かが傷付くのが嫌だった。
でも、倒れた後になってから気付いた。
逆に、もっと心配をかけたり
それよりももっと、負担をかけてしまうんだってこと…
だから…
恵土「今からでも、遅くないのかな。
いいのかな…本当に(ぼそ」
小声で呟かれた言葉は、一人の耳に届くには十分で……
菊地原「当たり前でしょ。
そうじゃなきゃ、僕の両親の言葉は何だったんだって話になるし。
第一、不良を倒した後で一々追いかけて
誕生日が近いって知って
どでかいケーキ、手作りで作って送ったくせに(溜息)
当時は犯人解らなくて、不信がったけど…
まあ、それなりに嬉しかったんだから別にいいでしょ//(後ろ頭かく)
…馬鹿恵土(ぼそり」
そう言いながらも、菊地原は微笑んでいた。
満足げに…さも、嬉しいとでもいうかのように……
私も、出会えて嬉しかった。
恵土「あー!!;
ついに敬語も先輩も取れたあ!!;」
菊地原「知らない。一々つけるの面倒だからいいでしょ」
恵土「だったら最初からやめとこうよ!;」
菊地原「嫌だ。
だって流石にそういうけじめはつけといた方がいいだのなんだの馬鹿げたこと言ってたじゃん。
『先輩に敬語を使うのは当たり前です。
たくさんの苦難を、一年でも多く乗り越えてきたんですから^^』
そう言ってたのはどこの誰?(じと目)
最終的に年上の冬島先輩に敬語抜けてたらしいけど(溜息」