第44章 ボーダーでの日々
そう言った直後、菊地原の母親に抱き締められた。
恵土「!」
驚きで目を見開かせる中…
母「辛かったわね(涙」
恵土「!!
何で…泣いて……」
父「溜息)そんなことも解らないか?
お前が…痛く、苦しく、辛い思いをしてきて
その上で、今のように気さくに笑っていたからだ」
恵土「…え?」
意味が解らなかったのだろう、?を浮かべるままとなった。
母「そんな思いをして、今までずっと黙ってきたんでしょう?
その想いは、自分を押さえ込んで壊しかねないもの。
きっと…あの子も、解っていて話していない。
それでもね、よく話すようになったの。
今まで、話さなかったのが信じられないぐらい
話すのはボーダーのことばっかり。
同輩のこと、戦友のこと、同じ隊の仲間のこと…
そして…バカみたいに突っかかってくる先輩のこと」
恵土「!」
母「その話をする時、とっても嬉しそうだったのよ^^;(涙)
やっと、理解者ができたって顔をして輝いてて…
遠慮なしにぶつかれるって感じで
『聞いてよ、またあのバカ先輩がさあ~(ぶうぶう』
あんなに生き生きとした顔、久しぶりに見たから^^」
恵土「…」
母「だから、感謝しているの(ぎゅう」
そう言いながら、なんて言おうか考え続ける恵土に対し
その菊地原の母親は抱き締めていた。
母「あの子が、あの子らしく生きていられることが…
私は、本当に嬉しいから^^」
菊地原&恵土『…っ;(涙』
母「恵土さん…
あなたは、化け物なんかじゃない。
人よりも、人のことを考えて思い遣れる。
それが、一番大事なことだって私は思うの。
その涙は、人のことを想っての故のものだってことぐらいは解ってる。
余裕がどれだけなくなっても、人にぶつけないで耐え続けて…
何年も何年も抱え込んで、誰にも話さないでい続けてきた。
その苦しみは、本当に凄いものだって思うの。
そして…あなたの、その慈しみも……
そんな風に視えたりするのはきっと…神様が、そう望んだから。
きっと…この人なら大丈夫って、信じたからなのよ」
恵土「!(母上と同じこと」
母「だって…そうじゃなきゃ、ありえないもの^^;
だから、恵土さん…居なければって思わないで。
人は誰でも、ぶつけないとやってられない時があるの。