第44章 ボーダーでの日々
木虎「いい話ですね;(ぐすっ」
その話を聴く中、木虎は涙ぐんでいた。
菊地原「結局…
その当時は、恵土先輩の過去なんて知らなかった。
知らなくてもいいって甘えていたんだ。
僕らの関係は変わらない。
なら、別にどうだって構わない。
それごと、大事な恵土先輩なんだってことは…
絶対に変わらないから(微笑」
『そう、見つめてくれたから…』
そう言わんとする菊地原の眼は潤んでおり
どこか、憂いを秘めているようにも見えた。
それに、
木虎「気持ちは十分伝わっていますよ、きっと(微笑)
だって、恵土先輩ですから^^;」
そう言いながら微笑む木虎。
その目から、最後の一言と共に涙が零れ落ちていった。
ゲームをしている中、語られた過去…
それは、遠く懐かしいものであると同時に
これから行く道を照らす、光でもあった。
ゲームとして、楽しめるものもあるかもしれない。
そんな感覚で、ぺろりと言葉を零してしまう人だっている。
でも、それを聴いて
聞きたくないのに聞こえて、気分を害する人がいることを忘れないで下さい。
それが当たり前といった社会が、浸透しないで欲しい。
全部が無理なのは解っている。限界なら吐き出してもいい。
それでも…
せめて、子供にそれが当たり前だと認識付けないようにして欲しい。
自分の場合、それが普通だった。
それでも、それができなかった。
された側の気持ちが解るから、それで傷付いてきた側だから…
それをどうしてもできず、言うことも出来ないまま大きくなった。
そうして爆発して、体調不良に陥ったりもする。
それでも、そのおかげで解ったこともまたある。
一つの結果は、一つだけでなく様々な要因が重なってできたもの。
私が、偏差値63の高校に行けたのも
指定校推薦で大学の薬学部に行けたのも
特殊な環境で育ったが故か
それだからこそ勉強に集中しないとやっていられなかったからなのかはわからない。
それでも、分岐点がいつどこに来るかなんてわからない。
したくもなかったことで
結局はつまづいたり、打ちのめされたりもしていた。
否定され続けてきた経験も知らないまま、こいつは悪い奴だと理解者ぶられたり
ひどい目に遭うことが当たり前の環境で育って、何かに手を付けられなくなったり