第44章 ボーダーでの日々
そんな時、もう一つの声が聞こえる…
母「こちらこそ、本当にありがとうございます(微笑」
父「そう言える人がどれだけ少ないか…
それはよく解っているし、社会の厳しさも醜さも知っているつもりだった……
だが、この人の眼は本気だ。
本気でそう思って、本心からそう言って感謝して頭を下げてくれている。
ただ一人の存在に、心底向き合っている…)
…
恵土さん、こちらこそ感謝させて下さい。
あなたのような人に会えて、私の息子も私たちも幸せ者です^^」
恵土「私も…会えてよかった^^
ありがとうございます(土下座&微笑」
晴れ晴れとした笑顔の土下座に対し
菊地原の両親もまた、土下座で礼を申し上げていた……
菊地原「誰も、頼んでないのに…;)
……バカ;
丸聞こえだ、ホントに;;」
いつだって…
真っ直ぐで、態度を変えなかった。
一時の感情の変動で、口から言葉を出さない。
好き勝手に批評したりはしない、決めつけたりもしない。
もしあるとしても、どうあっても譲れないもの…
人として守るべき道理の点に関してだ。
勝手に陰で言って広めて、人を貶めたり陥れようとはしない人だ。
菊地原(幸せ者なのは、こっちの方だ…
だって…
あんなに真っ直ぐにぶつかってくれる人、なかなかいないから)
思ってるのに、言葉に出せない。
あぁいう風にしか、ぶつかっていけない…
それでも、大事な所は決して見逃さない。
心無い一言で、傷付けようとはしない。
いつも、言われた側の気持ちを考えてしまう。
最近になって、やっと言えるようにもなったらしいけれど…
それでも
なかなか全ては言えずにいたことぐらい、見ていて分かる。
話す人もいず、話せる人もおらず
愚痴をこぼすことは、決してしないような人で…
それを聞いた人が、傷付いたりするのを一番恐れるような人だ。
まあ、僕から言わせれば…
サイドエフェクト起因で耳が6倍ぐらいいいせいか、余計に解る。
実際、傷付けられてきた方だから。
それで、言われないように
いくら努力しようとした所で、人は認めようとはしない。
最終的には、僕の言葉は刺を持っていって
俺って一人称も変わったはずだった。
やさぐれているように見えたかもしれない。
それでも、両親は…