第43章 飲み会(過去と今)
小南「?どうしたのよ、恵土。顔色が悪いわよ?」
そう、小南は歩み寄りながら右手を伸ばしてくる…
心配そうな顔と裏腹に、黒い顔が見えた
あの、おばさんの顔がよぎって見えた…
心が恐怖に埋め尽くされて、後ろへ下がっていく。
そんな中、一つの想いが交錯した…
『まもらなきゃ…
わたしが、みんなをけがしたんだ。
わたしがいたから、こうなったんだ…
いなくならなきゃ…
そうじゃなきゃ、みんながみんなでなくなってしまう』
一つの想いと共に走り出していった。
『護らなきゃ!
傷付けた人に…
そういう人にさせないために、護らなきゃ…』
走りながら、その能力で人の存在を感知したり
千里眼のように能力を特化させて発動させて逃げ回ったり…
そうこうしている内に…
気付けば、最後には空間移動を使えるようになっていた。
トリガーという、小さなチップと共に
トリオン体にはなれなくとも、それに似た力を生身のまま出せるものを…
それに見合った体、
その力を発揮しても無事でいられる体として
トリオン体が研究されたが
私が始祖神を復活させて
浄化させるためにヴォルフと一体化したその時まで、生み出されたりはしなかった。
一人きりの地獄の中、帰ってきた。
でも、何年一人きりでいたのかまではもう覚えていない。
気の遠くなるような時間の中
無意識の内に時間間隔が十倍になっていたことに気付いたのは、少し後…
身につけたくて、身についたわけじゃなかった…
生まれついてのものが覚醒して、伝わっていって……
最初からなければよかったのに…
こんな、目と耳なんて……
そう思って潰そうとした時、怒られたことは今でも忘れていない。
自らを殺そうとした時、父上と母上が怒った。
二人が怒ったのを見たのは、それだけだった。
喧嘩に関しては、母上が圧倒的に怖かったけど…
「おかしくないよ」
『嘘だ…そうじゃなきゃ、何で……
どうして、あんな眼を向けられなきゃいけないの?(涙』
涙が流れ落ちていく
暗闇の中、一人きりで耐えなければいけなかったあの日々は…
そうじゃなきゃ、なんだったっていうんだ?
幼いながらに、そう思ったことを今でも覚えている。
誰にも受け入られなかった日々も…全て