第43章 飲み会(過去と今)
烏丸「?」
小南「どうかしたの?恵土?」
そう尋ねて手を伸ばされた直後、脳裏によぎったのは…
幼き頃の、近界において
『最初に焼き付いた記憶』……
生まれてから、半年後…
その頃には既に、ある程度話せてはいた。
「ちちうえ!ははうえ!」
幼いながらに、きちんと話せていたらしい。
意思表示もまた、テレパシーではあるもののできており…
テレパシーと同時に帰ってきたり、時間差でそれがまた頭の中に響いたりといったことがあったらしい…
というより、あちらのアニメやら漫画になってる世界では
中学3年にあがりたての14歳から、もう25歳になる現在もなお続いているらしい。
だが、他が全て最底辺というか才能がなかった。
しゃべるのだって、眠りながらでも修業してたらしい。
それゆえのたまものだと知ったのは
物心がつくまで育って、それを話して教えてもらってから…
物心がつかなくとも、幸せな日常を過ごしていた。
満面の笑みで笑い合いながら…
そんな折だった。
たまたま開けたゲートから手が出て、襟首を掴まれて引っ張り出されたのは…
『!!!!って人間!!??;マジで!!?;』
恵土「う?(きょとん」
見知らぬ人間、見知らぬ世界…
物心がつかないまでも、身体を通して
味わった事、経験した事までもが脳裏に伝わっていった。
そういう能力を持っていた。
それだけの話ではあるものの…
どうしても、制御が効かなかった…
「視えてるの?教えてよ」
興味本位の裏に、それまでの記憶、闇…
様々なものが渦巻いて見える。
人の形をしたものとして認識されるのは、今までにそうない。
だが、最初の内は大丈夫だった。
そんな風な暴発はしなかった。
近界民に保護される形で生きていた。
けれど…
「急患だ!!」
「通してくれ!!!」
「しっかりしろ!!おい!!」
助けたかった。
血にまみれた、目の前の人を…
『大丈夫。この人たちはいい人たちだ。
だって…今まで、受け入れ続けてくれたから……(微笑』
そう思っていた。
『私が、治すよ!』
信じてくれた人たちに応えたくて…
本来、村の人以外に見せちゃいけない力を使った。
無意識の内にテレパシーまで
だけど…
待っていたのは、絶望だけだった……