第8章 神話
レプリカ「なんにせよ
この話は、あまり好意的なものではない。
ただ、国のために
惑星が存続できるようにするために
トリオンを保ち、遠征に使い
それ以上の成果をもたらすことを義務付けられたようなものだ」
遊真「う~む。
だが、それで無駄な争いとトリオンの消耗が減って
近界最大級の軍事国家となったってことか。
しかし、皮肉な話だな。
村の皆のトリオンが
星の存続や、軍事に向けたとしても尽きなかった。
その点から再び、争いが生じたって点においては」
レプリカ「…
恵土の両親は、殺されてトリオン器官を抜かれたが
それは、トリオンが弱かったからではなく
あまりに手強かったからと、報告されているそうだ」
遊真「基本(トリオンが)多い奴は
生け捕りが無理だからやむ無しってことか。
…つまり、もう…」
レプリカ「ああ。
恵土が行った時点では、既に…
アフトクラトルで
軍事目的と、星の存在目的に使用された後だ。
それらの内、余ったものを争いに使ったが
恵土はそれを知る由もなかった。
しかし、その村の皆のトリオン
そこに宿る意思が、何かしら力を働かせた可能性もある。
おそらく…(恵土を見る)
彼女の、底知れない想いが…
信じられないものを呼び起こし、力にしたのかもしれない」
遊真「…恵土は、あいつらのために泣いたんだよな?
殺されていった、皆のために。
あの時には、殺された皆のトリオンが
どうなっているのかを知っていたのか?」
レプリカ「…
様子を見る限りでは、おそらく知らなかったはずだ。
しかし
争いとして使われていた、その皆のトリオンが
恵土の意思をもって、想いをもって解き放たれたトリオンに反応し
ありがとう…
その想いが伝わってきたらしい」
遊真「ああ。部屋に戻る時に言ってたな。
球状のトリオンが降ってきて、触れた時
皆の顔が見え、思いが伝わってきたのだと」
レプリカ「おそらく、死してもなお
エネルギーとして存在しているトリオンに
もともと宿していた意思が
恵土の想いによって呼びさまされ
想いとして、恵土のトリオンと共に一つとなって
一つの形となり、恵土の手元に遺されたもの
それこそが、ホワイトトリガーなのだろうな」