第43章 飲み会(過去と今)
蹴られた後、その場にしゃがみ込んだまま
ぼろぼろ涙を零しながら言う恵土に対し…
俺は叫んでいた。
っていうか、本気で考え過ぎて
記憶障害が起こるぐらい、思い出すのが不可能になって
頭がぼーっとする状態が続いてやばかったんだが?;
「自分一人の存在のせいで…;(ズーン&しくしく;」
『山ほどうぜえ!!;でも助けてえ!!;』
「私がいない方の世界のあいつらだってきっと言うよ;
『私なんかいない方がいい』って;
今までがそうだったんだ;そうじゃない方がおかしかったんだ;;」
『っていうかお前熱あるんじゃ;って熱!!;』
あの時、やかんが蒸気を吹きだすぐらいに熱かったような気がするな;
実際、熱あったらしいし;
「そうだ、今までだってそうだった。
誰もがそう言って拒絶してくるんだ。
だからどこ行ったって同じで、だから何も望んじゃいけないのに何で…;
何で私は今もむざむざ生きて;;(ぼろぼろ」
『…』
その時、俺は悟った。
何で、恵土が恵土に対して
こんなに否定して拒絶して厳しいのか…
きっと…今まで……
誰もが、そうで…そう言われ続けてきた。
向き合ったとしても、横から見てたとしても…
それを受け入れてくれる奴なんていなかったから……
否定されてばかりだったから
なおさらに否定しないといけないってなっちまったんだろう…
自分の存在意義が、これ以上ひどくならないようにだか
そういうのもあるんだろうけれど
それ以上に、人を大事に思いやろうとする奴で…
だから、なおさらに…
それまでに言われ続けてきた言葉が今も、恵土の中で息づいては殺そうとしている…
だけど、そうじゃねえだろ…
『俺は、お前ひとりのせいだなんて思わねえ』
不意に口をついて出てきた言葉は、心からの言葉だった。
「でも」
『迅に言った言葉、覚えてるか?』
「?」
『あいつ、自慢げに言ってたぞ』
迅がまだ14歳になってから、玉狛支部に入って
玉狛第一として動くよりも前の
恵土から、サングラスをもらった後の話だった…
5年と10か月前
迅が玉狛支部で誕生日を迎えてから2ヶ月が経った時、事件が起こった…
ぱりぃん!!!
恵土「あ;」
たまたま、足に立てかけてあった棒が引っかかって倒れ
恵土のすぐ近くのガラスが割れて怪我した。