第8章 神話
恵土「遠い、あの日から…
少しは成長できたのだろうか…
それは、今でも思うけれど…
とても遠く、どこかに置いてきたように感じてしまう…
それでも、ちゃんと胸の中にあることを感じる
今までの経験全てを糧にして、生きていく
それらを踏まえた上で、大切にできる人こそが…
真にあるべき人なのだと…」
遊真「ふむ…
随分、人道的な話になったな」
レプリカ「しかし
だからこそ、神と呼ばれたのだろうな。
おそらく、神の国と呼ばれる所以は
そのトリオンの強さからなのだろう」
恵土「…そうだな。
あの口ぶりじゃ
トリオンを道具として使っているみたいだった…
真偽がどうなのかは、話してないから解らないけれど」
遊真「それにしても…
迅さんに、17歳半の時の恵土の写真をもらったが…
何で泣いているんだ?」
恵土「っていうかなんで持ってるんだ!!??;」
遊真「ふむ…
質問には、質問で返すのか?」
恵土「そうじゃないけれど!;」
レプリカ「おそらく、動揺しているのだろう」
遊真「どうしてだ?」
レプリカ「見られたくない時なのかもしれない」
恵土「えっと…
その時の写真は、久しぶりに
部屋にかけられていた日本刀をもって
強盗から市民を護って助け出した後のものなんだ。
でも傷を負っちゃってさぁ^^;
だから遠征に行く期間が遅れて延びちゃったんだけど;
その後、元通りに歩けるようになってから
里帰りしたんだ…約9年ぶりに…
村の跡地に行って、涙を流しながら
もう二度と、傷付かない。傷付けない。
悪い人にもさせない。
悪いことをした人にもさせない。
そう、誓った時の写真なんだ。
撮られていたとは知らなかったが;
あの時は…
『自分が要因で、傷付けられる。
自分のせいで、苦しんでいる人が増えてしまう。
そんなの、悲しいだけじゃんか;』
そう思って、気付けば涙が流れ落ちていた
そのために、存在していたなんて思いたくなくて
そんな風になんて、させたくなくて…
白帝を手にする前に叫んだ
その想いと、実際に味わった当時に抱いた哀しみと共に…
その想いの結晶が、おそらく白帝なんだと思うんだ……」