第8章 神話
しかし…
気付けば、その傷は少しずつではあるが癒やされていた…
人の笑顔を見る度
そんな人達と接するたび
いつしか、自然と笑えるようになっていた…
寿福感が溢れ
笑うと、とても嬉しそうに笑ってて…
それが逆に、自分にとっては嬉しかった…
そうして…
ようやく、普通に笑えるようになった…
こんな自分が笑っていいはずがない
幸せになっていいはずがない…
それまでの考えが覆ったのは…
うつむいて、辛い時のことを思い出していた時
それを見て、辛そうな顔をされたことからだった
だから自分は笑っていられた
それに…
もしも逆なら、そうして欲しい…
幸せになって、笑ってて欲しい……
誰よりも、大事に…
愛してきた、自分にとっての世界そのものだったから……
無下にしていいものなんてない
苦しめて、傷付けていいものなんてない
あまつさえ、殺していいはずもない
絶対に、二度と繰り返させない。
謝る限りは、絶対に二度と繰り返させない。
それが償いで、本当に「謝る」ということだから。
言うのは、一言で終わる。
それだけで終われば、何の意味もない。
それでも、それを繰り返させないように出来て
初めて生かしたことになると同時に
謝ったことと行動自体に、意味が生まれる。
過ちをし、その後の行動こそが
本当に大事なものだと、悟ったからこそだった…
それまで気負いすぎて、笑顔を忘れること…
それこそ皆が望まぬことだと、後で解った…
友好的な近界民たちも
攻撃的な近界民たちもいたからこそ、学び取れたことだった…
見る方向も違えば、考え方も違う
得られる感じ方も異なる
それでも、その中で同じものがある…
心を持ち、各々が自身で決めて行動するということ。
それと同時に
それらが個性で、誰もが全員特別で…
色々と掛け替えのないものを持っているのだと知った