• テキストサイズ

鬼神乱舞 【ワールドトリガー】

第42章 飲み会(昔話)2




冷凍庫に似た、冷たい空気を通り越して
ドライアイスよりも冷たく、鋭く突き刺さるような感覚を感じる中

これ以上近付かせまいと
突き放そうとするかのように風が吹き荒れているように感じた…


向けるべきは、俺たちじゃない。

それを向けないといけないのは、私自身だとでもいうかのように……


その黒い何かは、恵土に近付こうとすればするほど

内臓ごと貫かれるように感じる。


恵土「とっくに、希望は捨てたはずだった…

それなのに、それを望んだ私がバカだったんだ」


沈んだ眼で、うつむいたまま言われるそれに…

俺は、ドライアイスなんて生易しいほど
氷河期よりも寒く、冷たいものを感じていた……


それが突き刺さるかのように、恵土へ向けて吹き荒れる中…

俺は、あることを思い出していた。


昔、風間さんに聞いた。

恵土の持つ『第六感』は霊感も含まれていて
『相手の持つ感情を敏感に感じ取ってしまう』と…


だったら、恵土は…

その中に居て
なおかつ、それを自分自身へ向けようとしている恵土は


内臓を貫かれるよりも、遥かに痛いってことじゃねえのか?

全身をグサグサ刺されるよりも
遥かに痛いそれを、今も耐えてるってことだよな?


そう、思考がそこまで至った時に俺は…


陽介「!!」
太刀川「…」

恵土「…何やってる」

ボーダー本部内は、そんなに寒くない。

ちゃんと暖房も効いていて温かくい。
それを無効化するぐらい冷たい空気の中

歩み寄れば寄るほど
冷たさを、鋭さを増す空気を肌で感じながら

俺は気付けば
ずんずんと近寄っていって、恵土を抱き締めていた。


太刀川「はー」

吐く息が白くなるのを見つめる中、俺は…


太刀川「助けに来た」

自分の中にある想いを、きっぱりと言っていた。


その闇の中から、助け出したいって想いがあった。

そして…一緒に生きたいって願いが……


恵土「何から?」

そんな中、依然として変わらない冷たい声が返ってくる。


それは…

とっくの昔に、絶望した何かを見ているようにも見えた。


太刀川「お前をむしばむ闇から」
恵土「視えない奴がか?」
太刀川「そうだ」
恵土「どうやって?」
太刀川「愛を注いで(キラキラ」
恵土「できるならこうなってねえ(冷たい目」

そんな中、温度差の激しいやり取りが続いた。

/ 1782ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp